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第六章・8
「あ~あ~、こんなに酔っぱらって!」
「七瀬ぇ、水ぅ」
仕方がないなぁ、と七瀬はキッチンに走り冷たい水を運んできた。
「あれ!? もう寝てる!」
ソファでぐうぐう眠ってしまった丈士を、七瀬は呆れ顔で見つめた。
口移しで清水を彼の口に注ぎ、肩からバッグを下ろす。
「重い。何なのさ、これ」
開けてみると、大金が入っているではないか。
「……石川さんに、貰ったんだね」
ということは、何か丈士が悪いことを成し遂げたのだろうか。
もう一度、七瀬は丈士に口づけてみた。
舌を絡ませ、唾液を探った。
「よく、解んないな」
丈士の唾液からは確かに悪の味がする。
しかし、それを打ち消そうとする別の何かもある。
「ま、いっか」
こんなにお金もらったんなら、ご機嫌なはずだ。
明日の朝は、笑顔をくれるはず。
そう信じて、七瀬は丈士の服を脱がせた。
蒸しタオルで体を拭いて清め、パジャマを着せた。
そして、ベッドに運んでやった。
七瀬も、いつものように彼の隣で瞼を閉じた。
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