52 / 75

第七章・4

 一人アパートに帰って、三嶋は泣いた。  ひとしきり泣くと、くだんのスプレーボトルでハーブを浴びた。 「相良くんの、バカ! 人でなし!」  しかし、愛する丈士を罵るのは、あまりいい気持ちがしない。 「そうか……、七瀬だ。あの子さえ、いなければ!」  興奮した後には、酩酊が訪れる。 「ただじゃおかないんだから。七瀬……」  それでも三嶋は、七瀬への仕返しを考える事をやめなかった。  それどころか、思いついた策略がすばらしい名案に思われて仕方がない。 「ふふ、ふ。いいこと考えた」  七瀬なんか、相良くんの前から消してやる。  この世から、いなくなっちゃえばいいんだ。  うっとりと宙を眺めながら、三嶋は七瀬を丈士から引きはがすことばかり考えていた。

ともだちにシェアしよう!