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第七章・4
一人アパートに帰って、三嶋は泣いた。
ひとしきり泣くと、くだんのスプレーボトルでハーブを浴びた。
「相良くんの、バカ! 人でなし!」
しかし、愛する丈士を罵るのは、あまりいい気持ちがしない。
「そうか……、七瀬だ。あの子さえ、いなければ!」
興奮した後には、酩酊が訪れる。
「ただじゃおかないんだから。七瀬……」
それでも三嶋は、七瀬への仕返しを考える事をやめなかった。
それどころか、思いついた策略がすばらしい名案に思われて仕方がない。
「ふふ、ふ。いいこと考えた」
七瀬なんか、相良くんの前から消してやる。
この世から、いなくなっちゃえばいいんだ。
うっとりと宙を眺めながら、三嶋は七瀬を丈士から引きはがすことばかり考えていた。
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