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第七章・9

 しばらく余韻を分かち合い、二人は離れた。 「体、べたべた。丈士さん、拭いてあげるね」 「サンキュ」  ウェットティッシュで、七瀬は丈士の体をていねいに清めた。 「お返し」 「え?」  今度は丈士が、同じように七瀬の体を拭いて来た。 「え、えぇ~? 丈士さん、今夜はホントにどうしたの?」 「何が」 「優しい。とっても」  俺は優しい、って最初に行ったのは、七瀬だろ。  だから俺は、七瀬に優しくできる。  七瀬だから、優しくできるんだ。 「え? 今、何て言ったの?」 「……こんなこと、二度も言えるか」 「もしかして、愛してる、とか言った?」 「言うわけないだろ、そんなこと!」 「意地悪!」 「優しいんじゃなかったのかよ!?」  賑やかで、温かな夜は更けていった。

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