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第八章・2
「ありがとう。少し、雨がぱらついてきたよ」
「ベッドパット干さずによかった~」
やけにリラックスした様子の三嶋に、七瀬は温かい紅茶を出した。
「それで、三嶋さん。今日は僕に、何の用で?」
「うん……。実は僕、相良くんと別れたんだ」
「え!?」
「というか、一方的に捨てられちゃった」
「ええ~?」
僕のどこが、いけなかったんだろうね。
そう、独り言のように呟き、三嶋は紅茶に口を付けた。
七瀬は、何と言っていいやら困惑していた。
(一方的に捨てる、だなんて、やっぱり丈士さんは悪だな。どうしよう。慰めた方が、いいのかな)
七瀬が迷っている間に、三嶋の方から話しかけて来た。
「相良くんには、気を付けなよ? 彼、すごくお天気屋だから」
「それは同感」
「時々、何考えてるか解んなくなることもあるし」
「激しく同意!」
こんな風に、三嶋は穏やかに七瀬と話をした。
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