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第八章・6

 開けたばかりの店を臨時休業にして、マノスのマスターは七瀬の容態を診た。  腕に針を刺し、ぷくりと出てきた血液を舐め、深刻な顔をした。 「毒に、やられています」 「毒!? 解毒剤とか、無いんですか!?」 「残念ながら、これは今までにない新しい毒。解毒剤はありません」  そんな、と丈士は絶望した。 「七瀬は。七瀬はどうなるんですか」 「このまま、死ぬでしょう」  嘘だ。 「嘘だ、嘘だ!」  ソファに横たわる七瀬にすがった丈士に、マスターが不気味なことを言い始めた。 「あなたの育てた毒ですよ、相良さん」 「何だって」 「あなたの育てたハーブで、石川さんが作ったドラッグ。それを七瀬は飲んでしまったのです」  なぜ、それを。 「俺がハーブを作ってること、何で知ってるんです? 石川さんの話なんか、あなたにしたこと、無いですよね!?」  それには答えず、マスターは無常に事の次第を話し続けた。

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