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第八章・9
ただ、とマノスは釘を刺した。
「人間に殺された悪魔は、二度と悪魔には戻れません。いいですか?」
「うん」
「それから、蘇った七瀬は、あなたのことも全て記憶から消えています。それでも?」
「なんだって」
丈士は、初めて迷った。
あの、明るい笑顔。
無邪気な仕草。
優しい気配り。
七瀬との眩しい日々が、思い出された。
あの七瀬は、もう二度と俺の前には現れないんだ。
だけど……ッ!
「それでもいい。七瀬を生き返らせてくれ」
「解りました」
丈士と、悪魔・マノスとの契約は、完了した。
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