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第九章・4

 丈士とすっかり意気投合し、気分良くなった七瀬は、マスターに向かって大声を上げた。 「ねぇ、マスター! 丈士さんが、家に来ないか、って誘ってくるんだけど、いいかなぁ!」 「そ、そんな大声で!」  おやおや、とマスターは笑顔だ。 「好きになさい。七瀬さんの思うままに、生きなさい」 「は~い!」  二人は荷物を持つと、席を立った。  丈士は会計を済ませる時に、マスターに深く頭を下げた。 「ありがとうございます」 「二度目は、ないですからね。七瀬を、よろしくお願いします」  狭い階段を上り、二人は地下から歩道に出た。 「あぁ、美味しかった!」 「大丈夫? 酔い過ぎてない?」  平気、と七瀬は丈士の腕に手を絡ませた。 「丈士さん、優しいね~♡」 「七瀬にそう言われると、嬉しいな」  タクシーを拾い、二人はかつて共に住んでいたマンションへ向かった。

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