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第九章・8
射精してぐったりと力の抜けた七瀬の身体を、丈士は優しくさすった。
時々彼が甘えた声を出すのは、まだ丈士が体内に居るからだ。
「どう? もう、落ち着いた?」
「うん。丈士さん、まだだよね」
僕の内に、出してもいいよ。
そんな七瀬の誘いに、丈士は悶えた。
「七瀬はやっぱり、可愛いなぁ!」
「やっぱり、って何? 僕たち、今夜初めて会ったのに」
返事は、しなかった。
この身体で、思い出して欲しかった。
(俺たちは、以前もこうやって愛し合ってたんだよ)
抽挿を少し速めて、丈士は七瀬を愛した。
いや、以前の俺は、もっと意地悪だったっけ。
「俺、これから七瀬のこと大切にするから。絶対に離さないから」
「丈士、さんッ。はぁ、あ、はぁ。あっ、あッ、あぁ!」
「だから、ずっと俺の傍にいてくれ!」
「はぁ、あ! あぁああ!」
丈士は、七瀬に熱い種を注いだ。
絡めた指が千切れるほど、固く手を結んだ。
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