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第3話

「大学の同級生とか、新婦の友達とかとも話したりしたけど、やっぱりお前の方がいいなって思った」 「流石に、それは……」  ないだろうと司が言うよりも早く、正平はたたみかける。 「俺には、お前しかいない」 「あ……」 「お前といる時が一番楽しいし、一番飾らなくていい」  それは、司が望んでいた言葉。もしかしたら、真逆のことを言われてしまうのではないかと気が気でなかった胸中を救う言葉だった。嬉しい、信じたい。しかし、信じきることができない。どこまでも悲しい司の性が、答えを鈍らせる。 「って言いたくて、ろくに考えもせずに押しかけちまった。悪い」 「いや、その」 人々からの祝福、認められた関係。 美しく、包み込むような柔らかさを纏う花嫁。どんなに彼を愛しても、自分では与えられない。彼がそれを望んだら、繋ぎ止める術はない。司はそう思っていた。 そんなことばかり思っていたから、頭は混乱するばかり。なんと返せばいいのか。いくら思考を巡らせても答えはでない。こうなったら、素直に浮かんだ言葉を呟くしかない。 「うれしいよ」 「何で、泣きそうなんだよ」 もう、胡麻化すことはできなかった。 「だって、もう、終わりかもしれないと思ったから」 「終わるって何が」 紙袋を床に置いて、正平が司の顔を覗き込む。 「俺は、もともと、こういう性質だから、そこが揺らぐことはないけど、お前は違うじゃないか。お前は、元々、女性が好きだろう。だから、やっぱり……」 「女がいいって俺が言うと思ったのか」

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