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第10話

「ほしい、ほしい」  普段なら決して言わないような、あさましい懇願に、正平はニヤリと笑う。  奥をついたと思ったら、抜けてしまうのではないかと思わせるほどギリギリまで引き下げ、今度は中のしこり、前立腺を刺激するように、先端を押し付ける。その快感から、司は無意識のうちに己を攻め立てるそれを、甘く締め上げる。流石に、それは正平にもたまらなかったようで、低く唸りを上げ、より強く腰を打ち付け始める。  すっかり萎えていた司のそれは、内側からの刺激に、硬度を取り戻していた。血流が増し、一番奥から熱い奔流が解放の時を今か今かと待っているのを感じる。 「そんなに欲しいかっ。なら、コッチで気持ち良くなる必要はないよな?」 「あ、ああ」  正平の大きな手が、今にも吐き出しそうに勃ち上がったそれの根本を締めたことで、司はパニックになる。出したいのに、出せない。だというのに、血流は巡るばかり。どうすべきか分からなくなった司は、ただただ胎をきゅうきゅうと言わせるしかなかった。 「……っ、出る!」 「あああああっ」  正平は唸るような声を上げ、薄膜越しに司の胎内に精を放ち、その刺激で司は身を撓らせる。視界がチカチカと光を放ち、正平の体に倒れこんだ。内側でぐるぐると熱が渦巻き、今もなお、男の剛直を離すまいと締めあげている。そして、締めあげていると言えば、正平によって解放を妨げられた司の象徴は、今もなお、解放を待ちわび、先端の小穴をぴくぴくと動かしている。しかし、どうしたことか、司はそれを気にする素振りもなく、正平の胸でうずくまっている。 「悪い、大丈夫か」  ふと我に返った正平は、司の陰茎を戒めていた手を離し、に呼びかける。しかし、明瞭な返事はなく、荒い呼吸を続けるばかりだ。時折体をびくつかせている。 繋がったままでは、状況を理解しづらいと判断し、正平は萎えた己自身をゆっくりと引き抜く。離れがたいとでも言いたげに縋り付く秘肉を名残惜しく思いつつも、司の表情を見る。 そこに浮かんでいたのは、戸惑いと恍惚。おそらく、自分の身に何が起こっているのか、未だに理解できていないのだろう。震える体、立ち上がったままのそれ。

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