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リーネは汗や涙や蜜に濡れながら、肌を火照らせて靖満に抱かれた。
奥まで何度も靖満のペニスに挿し貫かれて、淫魔として生まれた身体が悦びに震えるのに耐えながらも、靖満の口づけと愛撫には切ない声を上げずにはいられなかった。
「りいねっ……俺もうイクっ……!」
靖満の切羽詰まった声に引きずられるように快感の波に飲まれながら、リーネは己の中で靖満が精を吐き出すのを感じた。それはそれ以外の何もかもを忘れてしまいそうなほどにリーネを酔わせる味で、このまま死んでしまってもいいと思うほどに甘かった。
乱れたシーツの上で目眩を覚えて、気付くと靖満に覆い被さられていた。中にはまだ靖満の温度があって、まるですっかり靖満のものになってしまったような気分だった。
「りいね……」
少し掠れた、穏やかな靖満の声が自分を呼んで、リーネは目を動かす。靖満の黒い髪が汗に濡れて美しかった。
「ありがと……最高だった……」
靖満は息を吐いて、りいねの首に唇を押し当ててきた。今夜はもう数え切れないほど靖満にキスをされていると思って、リーネは靖満の肩に慣れない口づけを返す。汗の味にまた気持ちがとろけてしまいそうで、どうしてこんなに美味しいのだろうと思った。
「……りいね……まだ抜かなくて平気?」
「え……?」
「りいねの中、ほんとにイイ……まだ中にいたい……」
りいねは今さらになって、自分が靖満を感じているように靖満も自分の中の感触を感じているのだと思って、恥ずかしくなる。しかしそれは靖満を拒絶する理由にはならなくて、リーネはおずおずと靖満の汗に濡れた背中に手を回した。
「はい……俺も、靖満さんの……感じるの好きです」
言うと、靖満の黒い瞳が間近にリーネを見て、そして強く頭を抱かれた。
「あー……だめだ、もう、絶対放したくない」
「え? ……え?」
「りいねが今まで他の男に食われなかったの奇跡じゃん……もう無理。俺本当りいねが俺以外の男にこんなんされるの無理だから……」
「や、靖満さん?」
「……りいね、頼むから俺以外の男の味覚えないで……」
耳に唇を押し付けられるのがくすぐったくて、リーネは首をすくめる。靖満の言葉の意図はうまく飲み込めなくて、戸惑いながら口を開いた。
「あの……靖満さんがこれからはずっとご飯くれるんですよね……?」
「……」
「俺……あの……俺は靖満さんが一番美味しいから、靖満さん以外食べたいなんて思わないですけど、でも、その……」
リーネが言い淀むと、靖満は身体を起こしてリーネを見下ろしてきた。真っ黒な瞳がじっと見つめてきて、リーネはまた自分の中で心臓の音が響くのを意識する。
「でも、何?」
靖満に問いかけられて、リーネは目を泳がせる。繋がったままの身体が切なくて、うまく頭が回らなかった。
「あ……えと……や、靖満さんに恋人ができたら、俺がもらえる精子減っちゃうのかなって……それだけ……気になって…………」
小さな声でぽそぽそと言ったリーネを、靖満は何とも言えない表情で見つめて、そして突然両腕で抱き締めてきた。
「あっひやぁっ!?」
頓狂な声が出て焦るリーネを、しかし靖満はぎゅうぎゅうと抱き締めて、低く呻くような声で呟いた。
「ほんと淫魔って話通じない……」
「えっ……」
「こんなやらしい身体好きにさせてもらって他に恋人作るとかないし……そこまで俺クズじゃないし器用でもないよ……」
「や、靖満さん……?」
怒らせたのだろうか、と思って窺うように呼びかけると、今度はシーツに押し付けられてのしかかられた。
「靖満さ、重……」
「りいねは人間のこと全然知らなくて可愛いけど、知らなすぎて見てらんないから、これから俺のことだけでも知ってくれる?」
どこか怒ったような、叱るような口調に、リーネはこくこくと頷いた。靖満に嫌われたくない気持ちと靖満を落胆させたくない気持ちが半々で、その真意までは考えられなかった。
「……大事にするから。もうりいねが腹減らしてつらい思いしたり、他の男に怯えたりしないで済むようにするからさ……」
機嫌を損ねたのではと思ったのに、靖満が沁みるような優しい言葉をかけてきて、リーネは混乱する。食事を保証されるだけで嬉しくてたまらないというのに、靖満が自分を守ってくれるようなことを言うのは、あまりにも自分にとって都合が良すぎる気がした。
「…………でも、やっぱりちょっとむかついたから」
靖満がそう言ってから、リーネは下半身の異変に気付く。靖満の雄が、また硬くなってリーネの内側を押し広げていた。
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