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「や……やすみつ……さぁん……っ」
壁に背中を押し付けられて、片脚を抱えられて、こんな繋がり方をしたのは初めてで、リーネは懸命に靖満にすがりついた。
中に靖満のペニスがあるというだけで、リーネは目眩がしそうになるというのに、床についたつま先の力を抜くわけにもいかず、快感と不安が交互に去来するのが怖かった。
「りいね……こんなに簡単にちんこ入っちゃうの、やらしぃ……」
靖満は呟きながら、リーネの目尻やこめかみに唇を当ててきた。熱い息遣いを耳元で聞かされて、リーネはいっそう強く靖満につかまる。気を抜くと崩れ落ちてしまいそうな気がした。
「……泣きそうじゃん、りいね、つらい……?」
リーネは迷って、小さく頷いた。
「お、おれ、こんな格好で、したことないからっ……」
「……そうなの? すげーえろいよ。この体勢じゃ気持ちよくない?」
リーネは首を振る。奥まで貫かれているだけで、腰が抜けてしまいそうだった。
「ち、ちが……このまま、きもちよくなるの、こわい……」
リーネの訴えに、靖満の黒い目が少しばかり細められて、間近に見つめられながらより強く腰を押し付けられた。
「あっやあん……!」
ぐりぐりとリーネの中をえぐろうとするような動きに、リーネは高い声を上げて靖満の背中にしがみつく。靖満の体液が奥に擦り付けられて、身体が震えた。
「りいね、まだまだいっぱい初めてがあるんじゃん。すげー可愛い……怖がんなくていいから、気持ちよくなりなよ……」
靖満はリーネの首や耳に何度もキスを繰り返して、明らかにリーネに快感を与えようとする動きで腰を使い始めた。
「あんっやっ……やっ靖満さん……っ! あっやっこんなっあぁんっ……!」
「だいじょーぶ、俺がちゃんと支えてるから……。あー、りいねの中すっごいイイ……俺もう出ちゃいそう……」
「えっ……あっ……ま、まってぇ……!」
揺さぶられながら、リーネは涙声で言う。靖満の熱っぽく甘く優しい目が、リーネの顔を覗き込んできた。
「何? 俺の精子ほしくない?」
「ち、ちがっ……ほしっほしいけどっ……あっ! いま出されたら、おれ、イッちゃう……!」
この体勢のままイクのは怖い、と訴えたかったが、喘ぎに声がつかえてしまう。戸惑いうろたえながら快感に翻弄されるリーネに対し、靖満はひどく満足そうに微笑んだ。
「俺が出したらイクの? じゃあ一緒にイこ。奥にびゅーってしてあげるから……」
「やんっやだぁっ……! やっだめだめ靖満さんっ……おくにせいしだめぇ……!」
かぶりを振るリーネの言葉にも靖満はやはり満足げに笑うばかりで、リーネは奥を何度も突かれて呼吸すら思うようにできなくなる。何の抵抗もできないまま靖満の腰がぶるりと震えて、リーネの奥に精液が吐き出された。
「あっやぁーっ……やっいっぱい……ああああだめえ……!」
リーネは涙をこぼしながら、きゅうきゅうと靖満のペニスを締め付けた。身体が痙攣して、短い悲鳴が幾度も唇からこぼれてしまう。
「く……きっつ……」
靖満の眉がきつく寄せられるのが見えて、きっと痛いのだろうと思ったが、自分の身体がまったく思い通りにならなかった。
びくびくと震えて泣くリーネに、靖満は荒い息の合間であやすようなキスを繰り返した。やがてリーネがくたりと脱力すると、繋がったまま靖満はリーネを抱えてそろそろと腰を下ろす。
「……っあ……んうっ……」
ペニスをくわえさせられたまま、リーネは靖満の膝に乗せられて、そして両腕で抱き締められた。
不安定な姿勢から解放されたことと、中を靖満の精とペニスでいっぱいにされていることに安堵と多幸感が満ちて、リーネは甘えるように靖満の肩に頬を寄せた。
「……りいね、出されてメスイキしちゃったね……」
優しく頭を撫でられながら囁かれて、リーネはぼんやりと靖満を見返す。快感が長くて激しくて、まだ思考力は戻ってこなかった。
「今の、やっぱり怖くて嫌だった? りいね……」
労るような声音で訊かれて、ああ、また優しくしてくれているのだ、と感じた。靖満はいつも優しくて、リーネを傷付けまいとしてくれる。
「……だいじょぶ、です……」
身体が気怠くて仕方なかったけれど、リーネはそう言って微笑んでみせた。靖満が興奮してくれて、中で射精してくれることが、リーネにとってどれほど嬉しいことなのか、靖満はまだ理解していないのだと思う。
「ほんと……?」
靖満の問いかけに、リーネは笑みを深くして頷いた。
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