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第5話
そういえばこの間あいつ、あそこのブランドの
新作が欲しいって言ってたなあ、なんて
思い、彼女のお気に入りの店の前に立った。
そしてそこには、背の高い男の隣で微笑む
彼女の姿があったのだ。
彼女もこちらに気付き、しまった、
というような表情でこちらを見たあと
なにか言い訳をしようとこちらにやってくる。
彼方はそれを笑顔で迎えた。
「奇遇ですね、先輩 !」
今まで呼んでいた下の名前じゃなく、
先輩、と。
あくまでただの職場の知り合いだと
隣の彼氏に伝えるように、彼方は言った。
彼女は一瞬とまどったようだが
隣の彼氏に二股をしていたことが
バレていないことに安堵したようだ。
「それじゃあ俺行きますね、先輩。
また職場で。」
数日後彼方は違う部署に配属されたため
彼女とはそれっきりだった。
そして彼方はその日の夜彼女と行くはず
だった天体観測イベントに一人で行った。
嫌なことを忘れたくていつも以上に
星空に集中した。
そこで出会ったのが星依だったのだ。
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