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第40話

「いえ、あの。大澤先輩と交流あるっていうわけでもなくて…。学祭は大澤先輩に誘われたというより、行ったらたまたま会ったっていうか…」  祐樹はびみょうに言いよどむ。まあ隠すほどの事でもないが、久しぶりに会ったあまりよく知らない先輩にあれこれ話すのも、と思ったが本多はふしぎそうに眉をよせた。 「大澤の誘いじゃない? じゃあ誰の誘い?」 「あ、その…。じつはつき合ってる彼女に学祭に誘われたんです。その子が大澤先輩の1年下で同じサークルなんで、それでたまに会う機会があるっていうか」  はっきり言ったほうがいいかときちんと説明したら、「え、彼女?」と 本多は絶句してまじまじと祐樹を見つめた。  本多のその表情に、正直に言ってみたものの、やっぱり言わなくてもよかったかなと祐樹は頬にじわじわ血が上るのを抑えられない。  もじもじした居心地の悪い空気になる前に、本多が「そうだったんだ」と明るい声を上げた。祐樹はこまったようにうつむく。  赤くなった祐樹に、本多はほがらかに笑いかけた。 「あー、ごめん、そうなんだ。じゃあ、え、大学1年の彼女? やるなあ、祐樹」 「いえ、その。彼女は大澤先輩と同じサークルで、それでおれとも知り合って、そういうわけなんで…わりと会うことがあるって感じで」  言わなくてもいいのに、言い訳のようになれそめを話してしまう。 「へえ、じゃあ大澤の紹介みたいなもんか。ふうん、祐樹に彼女ねー。や、ちょっと意外すぎてまじで驚いたわ」 「…おれが女の子とつき合うの、そんなに意外ですか?」 「えー、いや、そうでもないか? うーん、さっき会うまで俺のなかじゃ、中2のときのかわいい祐樹姫のままのイメージだったからさ。でも今はこんな背も高くなって、なんかモデルさんみたいな感じだもんな。彼女のひとりやふたりはおかしくないか」  いや、ひとりで十分だし、それすらも手に負えないというかどうしていいかわからず困ってるというか。祐樹の内心など知らない本多は楽しげだ。

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