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第46話
クリスマスは結局、綾乃の友達を含めたクリスマスパーティに参加した。
パーティに行くまえにふたりで買い物に行って、一緒にピアスを選んだ。綾乃は祐樹に財布をプレゼントしてくれた。
サークルのメンバー中心に40人ほどでイタリアンレストランを貸し切ってのパーティで、海水浴のときのメンバーもいたのでそれほど緊張はしなかったが、大学生メインのパーティはやはり気疲れする。
大澤や顔見知りのメンバーが話しかけてくれたり、綾乃もなるべく一緒にいてくれて、それなりに楽しかったがそれでも疲れた。
ふたりきりのクリスマスとどっちが気疲れしただろうとなにげなく考えて、祐樹ははっとした。
自分は綾乃とふたりだと気疲れするのかと虚をつかれた気分で、そんなことを思うことに戸惑った。
綾乃はかわいいしやさしいし、好きだと思っている。それなのに、なぜそんなふうに思うんだろう。
初めての彼女という特別な存在は素直にうれしかったのに、いつの間にそんなふうに思うようになったんだろう。
綾乃の笑顔はかわいい。それが見たくて祐樹は、綾乃の誘いはできるだけ断らないようにしてきた。
学校行事やテストなどどうしても無理なときは仕方ないが、それ以外は綾乃を優先させてきた。
綾乃のほうも祐樹がこまるようなわがままや無理難題を言ったことはなく、半年近く、ケンカらしいケンカもしないまま過ごしてきたのだ。
河野はつき合っている彼女としょっちゅうぶつかるらしく、少なくとも週に1度はあいつ信じらんねー、と小さなケンカをしている。
「何をそんなにもめるの?」
「わっかんねー。向こうが勝手に怒ってんだよ」
「それ、どうやって解決するの?」
「んー、とりあえず謝る?」
「何が悪いかもわからないのに?」
「でも黙ってるとますます機嫌悪くなるからさ」
「それで許してくれる?」
「なんかまあ、謝ってるうちに収まることもあるし、文句言われることもあるし、あとはちょっとしたお菓子買って行ったりとか」
「お菓子って? 菓子折り?」
菓子折り持って彼女に平謝りする河野を想像して祐樹がへんな顔をすると、河野があきれ返った。
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