与えられる愛撫は祐樹には心地よいもので、生まれて初めて、欲情する、というのを実感した。 　体のどこか深い場所から急激に熱が上がって、快楽を求めるのが怖いくらいに感じ取れた。欲望あらわってこういう状態か。 　制御できない衝動でめちゃくちゃにしたいのかされたいのかもわからないまま、必死に手を伸ばして大澤に抱きついた。 「あっ…あ。先輩、やっ…」 　脇腹や背中にもキスされて、ぞくぞくと電流を通されたみたいに背筋がしびれた。ちいさな乳首をこねられて舐められると、こもった熱が下半身に向かうのがはっきりわかった。 「んっ、は…、やだっ」 「だいじょうぶだ、祐樹。楽にしてろ」 　知らないあいだにローションを使ったようで、ぬるぬるした感触は不快なようなそうでないような危うい感覚を呼んだ。 　時間をかけて全身を愛撫され、やがて自分でも触ったことのない体のなかにまで指が入ってきた。 　ほんの浅い場所までの挿入でも緊張にこわばる祐樹をなだめながら、大澤はそこを慣らして指を増やしていく。 「痛いか？」 「痛くは、ないかな。なんか…へんな感じ」 　鈍く痛いといえばそんな気もするし、とにかく未知の感覚だとしか言いようがない。　 　それなのに性器は痛いくらい勃ちあがって、大澤のすることを期待するかのようにとろとろと溶け出している。 　浅いところを抜き差ししていた指がぬるりとすこし奥に入ってきたときに、唐突にそれは来た。 「ああっ、や、だ…あ、ああっ…っ」 　背中がびくびくしなって一気に射精していた。 　なにが起きたがわからない。頭のてっぺんから突き抜けるような快感だった。思わず目を閉じてそれに耐える。 　しばらくたって荒い息をつきながらそっと大澤をうかがうと、驚くほど欲情した顔で祐樹を射抜くように見ていた。初めて見る男の顔にどきっとする。 「よかったか？」 「…はい。でも…、びっくり、して…」 　正直に告げると、激しいキスをされた。 　押しつけるように深く舌を絡められて、息をするのもままならない。達して満足したはずなのに、大澤の手でどろどろの性器を擦られてまたそこが勃ちあがってくるのを感じる。 　こんなことは今までになかったことで、祐樹は困惑する。