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第81話

「ほんと、ですか? いいの?」 「すげーいいよ。熱くてキツイ」  大澤も堪えているのだろう、早い息遣いと腰をつかむ熱い手がリアルに感じられた。  さっき指で触られて一気に発情したところを擦られると、かーっと熱が上がって頭のなかがぐちゃぐちゃに溶けてしまってどうにかなりそうだった。 「あ、そこ、…だめ、です…っ」  ゆっくり何度も突き上げられて、自分の中が大澤になじんでいくのが絡みつく感覚でわかる。体を繋げる、という感覚を初めて実感した。 「うん、めちゃくちゃいいだろ。腰揺れてる」  動物の本能の動きかたで祐樹が腰を揺らすと、衝動的に強く突き上げられた。がくがく揺さぶられてももう痛みはほとんど感じない。 「あ、ああっ、…やあっ、あっ……んん」  声を抑えることもできなくて、大澤に翻弄されるままどんどん追いつめられる。きつく目を閉じて、浅く呼吸するだけで精いっぱいだった。 「祐樹、…祐樹、はっ…っ」  大澤の呼ぶ声にも欲情がにじんでいる。  触られてもいないのに、性器は張りつめてとろりと濡れていた。大澤の手が回ってきて、敏感な先端を指の腹でくりくりと撫でる。 「それ、だめ…、せんぱ、あっ……ああっ…」  性器を扱かれながら、中の感じるポイントを擦られるときゅーっと体が縮まるような気がした。とろりと溶けだしそうなくらい体が熱かった。 「いけそうか?」  こくっとうなずくと力強い律動で追いつめられ、くらくらする感覚のなかで登りつめた。  セックスってこんなふうだったっけ?  うつぶせに脱力したまま、まだ整わない息づかいで祐樹はぼんやり思った。  いつも次はこうしなきゃああしなきゃって手順や段取りを考えて、相手の反応と自分がちゃんとできるか、そればかりを気にしていた。  セックスするってこういうことかと初めて体で納得した気がする。自分も相手も一緒に気持ちよくなりたい、互いに欲しがって与えあいたいと思うから抱き合うのだ。  それには男も女も関係ないのかもしれない。 「悪い、最後のほう、ちょっとセーブできなかった。きつかったか?」  すこし落ち着いた大澤が眉をさげて、祐樹の汗で張り付いた前髪をかきあげた。  「いえ、すごくよかった、です」 「…そんな顔して、そういうセリフをさらっと言うなよ」  大澤が照れくさそうに苦笑して、こんな顔も初めて見るなと思う。きっと自分も大澤に初めての顔をいろいろ見せてしまっただろう。  照れるけれど嫌な気持ちにはならない。

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