真が気に入った。 強そうだし、優しそうだし、真面目そう。 代表の藤城くんも真面目で優しいけど強そうではなくて、真みたいなやつがサークルにいたら心強いなーと思った。 力仕事に必要な人材、よそ行ったときの牽制にもなる。 俺の事情とサークルのために、真をサークルに誘った。 渋ってたけど『入りたくない』じゃなくて『入ったら迷惑かける』だったから、迷惑じゃないよと押しに押したら折れてくれた。 優しい。 俺の話、聞いてくれる。 仲良くなりたくて真の教室に遊びに行くと、真はいつも一人。 一匹狼似合うけど、やっぱり問題児なのかなとちょっと心配になる。 教室内に高校の同級生の優磨を見つけて、真のところに行く前に声をかけた。 「ねえ、奈良場真っているでしょ。ボランティアに誘ってるんだけど、ここではどんなカンジ？」 優磨は周囲を気にしながら教えてくれた。 「んー、背デカいし大型二輪持ってて彼女美人だしかっけーなーと思ってたんだけどさ、最初」 ハイスペックっぽい。 けど彼女いるのかー。 がっかりしてると、優磨が話の続きを口にする。 「ここでクラスのやつ殴って流血沙汰起こしてから、なんかこわい」 それでボランティア強制されたのか。 思ったよりデカいことしてる。 桜祭りで真を止めなかったら流血沙汰になってたかな。 そこで隣にいた女子が話に割り込んできた。 「ちょっと待って。陽織、かっこいいバイク乗ってるからって奈良場くんと付き合って、すぐに相原に乗り換えたんだよ。奈良場くん気の毒だし喧嘩しても責められないでしょ」 それはかわいそう、無口だからシンプルなやつだと思っていたら意外と情報多い。 彼女、今はいないのか。 「彼女取られて教室で殴んのか？　やっぱこわいだろ」 優磨は彼女取られて怒んないのかよ、殴られる側か。 女子は優磨を否定する。 「取られたからって言うか。相原が奈良場くんに陽織のコトあきらめさせようとして、陽織は貞操観念ないとかビッチあつかいして喧嘩になったの。陽織のために喧嘩したようなもんだからね？」 別れた彼女を馬鹿にされて、怒ったの？ 俺のときと似てる。 自分が馬鹿にされたからじゃ、ないんだ。