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不器用な初恋のその後15

 寝室まで連れていかれてようやく何をするのかわかって、驚いたり赤くなったりしていると、天王寺に笑われてしまった。  鈍い自覚はあるけれど、でも、全然別の話をしていたのに、突然そんなことは思い浮かばない。  それでも、抱き締められて、キスをされるとすぐに体が熱くなり、頭の中は天王寺でいっぱいになった。 「ん…っ、ふぁ、ち…さま、」  名前を呼んだ唇を、吐息ごとまた奪われる。  舌を絡め合い、粘膜を触れ合わせる深い口付けに力が抜けて、立っていられずベッドの端に座り込むと、ジャケットを脱がされてそっと寝かされた。 「シャワーを……、」 「どうせ汚れるから、後で入ればいい」  その時は、また天王寺と一緒に浴室を使うことになるのだろうか。  洗われるのは、やはり少し恥ずかしい。けれど、嬉しくて気持ちがいいのも確かだ。  自分もさせてもらえないだろうかと事後のことに気を逸らせている間に、シャツのボタンを外されて、胸元にキスが落ちた。 「っ、…ん、」  敏感な場所を舌が這うたび、ぴくんと体が震えてしまう。  過剰な反応が恥ずかしいけれど、天王寺に触れてもらえるのが嬉しくて、止まらなかった。 「ひゃ、ん…っ、そこ、は」  胸への刺激に夢中になっている隙にズボンを下着ごと脱がされ、天王寺が反応しはじめているましろのものへと手を滑らせる。 「あ、っやぁ、触っ……んん、」  熱い手で握り込まれるだけで、そこは苦しいくらいに脈打った。  緩く擦られると卑猥な音が立って、腰が浮いて声が止まらなくなる。 「ちぃ、さま…っ、あっ、あん、ゃ、そんな…したら、出ちゃ…、」 「気持ちがいいか?」 「んっ……、気持ちい、です、気持ちい、っあっ!あっ、っゃ、あぁ…っ!」  先端をぐりぐりと弄られれば、強い刺激に我慢ができず、呆気なく天王寺の手を汚した。  荒い息を吐き出しながら、脱力してベッドにくったり沈みこむ。  服を脱ぎ捨て、再びベッドに上がってくる天王寺の中心は既に勃ち上がっており、ましろは思わず快楽の余韻に未だ震える手を伸ばしていた。 「私も、ちー様の…触りたいです」 「いや…、お前はそんなことはしなくていい」  触れる寸前でそっと手を押さえられて、ましろは唇を尖らせる。 「ちー様はするのに、私がするのはダメなのですか?……ずるいです」 「ましろ。……お前は突然負けず嫌いだな」 「ごめんなさい。でも、ちー様にだけ…です」  小さな告白に、天王寺は眩しそうに目を細めた。  他の人には、止められてなお、要求を通したいなどと思わない。  言われたことに従順でいる方が楽だということを、ましろはよく知っている。  けれど、天王寺はそれを望んでいないのではないだろうか。  …今までずっと、天王寺の背中を見ていた。  庇ってくれる背中。追いかける背中。去っていく背中。  全てましろの憧れる、大好きな天王寺ではあるけれど、できれば並んで話をしたかった。  ましろにも天王寺のことを愛せると、ちゃんとわかってほしい。 「ちー様も…、私しか知らないちー様がありますか?」 「俺は、お前の前以外ではもう少しスマートだぞ」 「ちー様は、いつもスマートだと思いますが……」 「唯一、ましろがそう思ってくれているのだけはありがたいが」 「それでは、私は私しか知らないちー様のことがわからないままです。やっぱり、ずるいです…」  困らせるとわかっていても、ましろは駄々をこねて見せた。  それは、天王寺にだけしかしないと、伝えたから。

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