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第25話

「月夜…もう…いれて良い?」 珍しく性急な太陽に、僕は小さく頷く。 足を抱えられ、ゆっくりと太陽が入って来る。 入れられる瞬間、切なさと愛しさが混じった感情になる。 「太陽……快い……」 熱い楔が中を侵食して来る感じに身体が震える。 ズッ……と押し入れられ、僕の中が太陽でいっぱいになる。 「あぁ…っ」 仰反る僕の腰を掴み、最奥へと腰を進める。 僕は足の爪先を立てて、与えられる快楽を貪る。 太陽と暮らして身体を重ねるうちに、お互いに与え合う快楽に貪欲になっていっているような気がする。 「あっ…あっ……そこ……もっと……」 浅く深く腰を穿つ太陽に、僕は感じる場所を伝えて更なる快楽を求める。 太陽も、僕の言葉に合わせて腰を揺らす。 「あ……太陽……もっと、もっと激しくして…」 背中に爪を立て、腰を穿つ太陽の頭を抱えて耳元で甘えるようにねだる。 「月夜……っ、あんま締め付けんな…」 辛そうに眉を寄せる太陽に 「出して…中にいっぱい出して良いからぁ…もっと、もっと激しく抱いてぇ……っ!」 僕は縋り付いて太陽の動きに合わせるように腰 振り立てた。 「月夜……っ、ちょ…マジ…無理…っ!」 僕の身体を抱き締めて、太陽の腰がビクッと震えた。 中に熱い迸りを感じて、僕は愉悦の吐息を漏らす。 荒い呼吸をする太陽は、僕を抱き締めて 「月夜は…やる前は恥ずかしがるくせに、始まると積極的だよな…」 そう言って額にキスを落とす。 「積極的な僕は嫌い?」 甘えるように首に手を回して聞くと、太陽は困ったように笑って僕の唇にキスを落とす。 「俺は、どんな月夜も愛してるよ」 そう言われて、僕も太陽に 「僕も…愛してる」 そう返した。 唇を重ねていると、僕の中の太陽が徐々に復活して来て 「月夜…このまま…続けて良い?」 と言いながら、腰を動かし始めた。 僕は返事の代わりに、太陽の背中に手を回した。 一度吐き出した太陽の精子と僕の愛液が混じりあい、粘着質な音と太陽の腰が僕の身体を穿つパンパンという打刻音。 そしてギシギシと鳴り響くベッドのスプリングの音が、僕を更なる快楽へと連れ去って行く。 あぁ…そろそろとは思っていたけど…、ヒートがきたんだな。 僕は激しく僕を抱く太陽を見上げ、ぼんやりと察知した。 太陽は僕のヒートにつられるように、発情するようになった。 酷い時は一日中、獣のように求められる。 それは太陽本人の意思ではどうにもならないみたいで、僕の身体を合わせて太陽の身体を求めてしまう。 これが運命の番と言われる所以なのだろうか? この後、ヒートの絶頂期を超える3日目までは、僕も太陽も水分補給くらいでずっと身体を重ねてしまう。 お互いの熱に誘発されるように、求めても求めても足りない快楽の底なし沼に落ちて行くみたいだった。 それを石井先生が薬でコントロールしてくれている。 那月おじさんはすっかりコントロール出来るようになっているらしく、僕達のように獣化するような求め方はしなくなったと話していた。  ヒートが過ぎて、やっと落ち着いた頃。 僕は久しぶりに1人で電車に乗って買い物に行く事にした。 心配する太陽や石井先生にスマホを持たされ、何かあったらすぐに連絡するようにいわれた。 「子供じゃないのに…」 僕が苦笑いしていると 「子供とか大人の問題じゃないんだよ!月夜はぼぅっとしてるから…」 と、ため息混じりに太陽に言われてしまった。 僕はこの日、引っ越してからずっと使っていたお茶碗を割ってしまい、新しい食器を買いに2駅先の駅にある大きなアウトレットモールに行く事にしたのだ。 過保護過ぎる太陽と石井先生のせいで、普段、あまり遠出はさせてもらえない。 僕は息抜きに電車に揺られて、1人のショッピングを楽しんでいた。

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