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第3話
俺と8つ離れているアニキが彼を連れて来たのは俺が高校生の頃だった。
「これが俺の、この家の太陽になるやつだ。俺はこいつ以外との結婚も何もかもする気はない!みんなが嫌だったら、俺達は出て行く。」
そう家族を前にして啖呵を切るアニキの横で、彼はずっと俺達家族に向かってすいません、すいませんと頭を下げ続けていた。
家は家族と数人の従業員とでやっている小さな工場だ。
アニキは弟の俺から見ても脳まで筋肉みたいな男だが、これで手先はかなり器用。今ではアニキにしかできない受注品なんかもあって…まあ、アニキにいなくなられたら家の工場はかなり傾くうえに、俺は工場の匂いがあまり得意ではない為、後を継げる者もいなくなる。
それを逆手に俺達を受け入れろ!と、アニキにしては上手いやり方をしたと思う。
まぁ、それ以前にそういう愛の形にとやかくいうような両親ではないのだが…。
結果として、あんたがいいならそれでいいよとあっさりと両親から認められ、家の両親の養子となった彼とアニキは、実質結婚した。
二人はそのままこの家に住む事となり、近所でも有名な溺愛カップルとして有名になった。
外出する時は手を繋ぎ、どちらかが家を出る時、戻って来た時にはキスをする。
健全な発達をしている高校生男子には、勘弁して欲しいくらいのラブラブっぷりを見せつけられていた俺は、この二人を主人公にした小説ってどうなんだろう?というちょっとしたいたずら心から書き始めた。
しかしまさかこんなにも人気が出るなんてなぁ。
家族は俺が小説で食っていることは知っているが、中身のことまでは言っていない。
バレた時が怖すぎる…。
はあとため息をつくと、オムライスのいい匂いが俺の鼻をくすぐり、お腹がグーっと鳴った。
「薫くん、ご飯だよー!」
彼の呼びかけにはーいと返事をすると、そそくさと階段に向かった。
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