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第10話 猫の迷い-後編-(15/20) ※R18
ベッドに腰掛けたアルが、自分の膝をトントンと叩く。
「おいで」
「そこ…えっ、そこに…?」
「うん」
戸惑うユーベルの腰が引き寄せられる。
肩に手を置いたユーベルが躊躇いがちにベッドに膝をついて、アルを跨ぐ格好で向き合うと、首筋を掴んだアルに下から口付けられた。
うっとりと見上げる猫の瞳が灯りに照らされて、月のように金色に透き通る。
「ん…綺麗な目…」
キスの合間に囁いたユーベルが、自ら舌を擦り寄せると、アルの腰がピクンと反った。
ぴちゃぴちゃと音を立てるように舌が縺れて、二人を口内と耳から高ぶらせていく。
膝立ちのままでいる太腿が震える頃合いを見計らって、唇を触れ合わせたままアルが囁く。
「はぁ…座って」
素直に膝の上に腰を下ろしたユーベルの、もも裏の感触と重みが、すぐ傍にあるアルの昂ぶりを熱くした。
緊張とキスで紅潮したユーベルを目に焼き付けながら、アルは自分を跨ぐゴム口のズボンの中に遠慮なく手を突っ込んだ。
「…っ!」
びくりとしたユーベルの目が羞恥と不安で揺れる。
脳裏に浮かぶ聖書の一面。
それに禁じられている、同性同士での性交。
聖職者として刷り込まれた罪悪感に苛まれても、アルの手を拒みそうになる自分を抑えつけて顔を背けたユーベルは、もう踏み止まりたくなかった。
まっすぐに、肌を欲してくれたアルに、応えたい。
アルが下着越しにさわさわと自身に触れると、硬さを持ち始めていたそこは素直にピクリと反応した。
優しく握り込んだそれに親指を擦り付けると、徐々に硬さが増していく。
「ふ…っ、ん…、っ…」
「気持ちいいか?」
喉を突く声を自分の耳に入れたくない一心で、唇を結んだユーベルはこくんと頷いた。
性行為を善悪で判断しようとする理性が邪魔で、与えられる快楽に集中しようと逸らした瞳に熱が篭って潤んでいく。
勃ち上がったユーベルを上下に扱きながら、アルがキスを求めて顎に口付けると、気が付いた彼は素直に応じてくれた。
「んっ、ん…ぅ、…っふ、…!」
たまらず、といった感じで漏れ出る声にアルの猫の耳がピンと立つ。
触れ合う舌が熱く、開いた口から上擦った声が零れ落ちる。
「ぅあ…っん、ぁ…っはぁ…」
ちゅ、と音を立てて唇を離したアルは、ユーベルの手を取って、リネンのズボンを突き上げる己の股間に導いた。
恥じらいの視線を寄越したユーベルに、琥珀色の目が愛しげに細められる。
「…俺のも触って」
「ん…、うん」
愛撫から解放されたことで少しほっとして控えめに頷いたユーベルが、アルと入れ替わりにおずおずと手を触れる。
硬さを確かめるようにズボン越しに指で撫でると、アルの吐息が震えた。
彼を真似て、掌で包み込んで擦ると、見つめ合ったままのアルが眉を寄せる。
「っ…んん、ぁあ、もっとして。直接がいい」
「う、うん」
ユーベルは少し躊躇ってから、下着のゴムを手で探って、腹筋を撫でるようにしてゆっくりと手を差し入れた。
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