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第10話 猫の迷い-後編-(17/20) ※R18

「男は?」 「っ…ん?」 「男相手はあるのか?」 何かを考え込んで逸らされた横目を見つめながら、アルは滑らかな手触りのセーターをするりとたくし上げた。 露になった胸元は日の光を知らず、その白さは純潔を表しているようで、神聖を汚す背徳行為は甘美なものだとアルを誘う。 日頃のたおやかな印象とは違って、意外と筋肉の乗っている素肌に舌を這わせると、ユーベルの身体はピクンと跳ねた。 「んぁ…っ、な、内緒…」 「じゃあ、女は?」 慎ましく色づく乳首に舌を押し付けてくにくにと押し込むと、一声上げたユーベルは口元に手を押し当ててビクビクと肩を震わせた。 「あ、っ…んぅ! なっい…しょ、…」 「えー、教えろよ」 時折くっと歯を立てながらころころと舌先で責め続けると、もじもじと背を反らせていたユーベルは赤い顔で悔しそうに眉を寄せて、ついに言い淀んでいた口を開いた。 「んんっ…! んっ! くぅ…っ、しつこ…っいぁ…! わかった、はぁ、…どっちか、答えるから…!」 「んー、じゃあ、男」 虐める楽しさを覚えた猫の目が笑う。 快楽に翻弄される悔しげな目が細められる。 「…っ、ない…っ。なんで今…」 呟かれた答えに満足したアルは、へへっと無邪気に笑って頭からシャツを脱ぎ捨てた。 ズボンも下着もポイポイと躊躇なく放り投げると、ユーベルのズボンを下着ごと引っ張って、少し強引に剥ぎ取って、ずり上がったセーターだけを残した彼の片足を掴んで自分の肩に掛けさせた。 「今だからだろ。俺も男相手は初めてだし」 「…あぁ、じゃあ」 羞恥心をひた隠しにして薄ら笑いを浮かべたユーベルは、アルの首を捕まえて引き寄せた。 興味深そうに傾けられている頭上の耳に向かって、わざとらしく「優しくしてね」と囁く。 「…余裕だろ、お前」 「ふふ、どうかな」 表面上は冷静でいるユーベルに、軽く口付ける。 本当に冷静なのか、取り繕うのがうまいのか、真意がどちらか読み切れないまま、アルはベッド横のエンドテーブルから小瓶を取った。 パチン、と蓋を開いて、粘度の高い液体をとろりと指に絡ませて、不敵な笑みで待つユーベルの入口へつぅ、と指を滑らせる。 「っ…」 顔を背けたユーベルの髪の隙間から、赤く染まった耳が覗く。 「…見栄っ張り」

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