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第10話 猫の迷い-後編-(18/20) ※R18
受け入れてもらうそこへ、ぬりゅぬりゅと塗りつけた指の腹を押し付けて、ぐぐ、と力を込めると、固く強張りながらもどうにか飲み込んでくれた。
柔らかくて、温かくて、でもまだぎこちない。
ゆっくり内部をほぐそうと、押し広げるために指をくっと折る。
「んぁ…っ!」
ひくんと跳ねたユーベルが上擦った声を漏らす。
緩やかにスライドさせると口が手で塞がれて、固く締まっていたそこが少しずつ滑らかになっていく。
時間をかけて苦痛そうにしていないか観察して、声を出そうとしない彼の中から頃合いを見て指を引き抜くと、興奮で呼吸を乱したアルはいきり勃つ己をつぷ、とあてがった。
「…いいか?」
「ん…うん」
ふ、と息を飲んだ不安そうなユーベルと視線を交わす。
短いやり取りのあと、腰に力を込める。
先端から少しずつ熱さが伝わってきて、違和感に耐える指がシーツに食い込んでいく。
押し開いて、時間をかけて、しっかり根元まで埋め込むと、みっちりと熱く絡みつかれて、恍惚の溜め息が猫の口から漏れた。
「ぅはぁ…気持ちいい…」
耳がへたり込んで、強い快感と震えが腰から脳に駆け上がる。
うっかり昇りつめないよう奥歯を噛み締めて、自然と眉間が狭まる。
声も出さずに耐えたユーベルが、同じ顔で見上げてきて、ふっ、と笑う。
「…いい顔」
「っ…お前も、同じ顔してんだろ」
「――ぁくっ! …んうっ!」
悔しさを感じたアルが軽く腰を揺らすと、やっとユーベルが声を上げた。
少し苦しそうで、快感の喘ぎとは程遠い声でも、押し黙って耐えられるよりはずっとほっとする。
「ぁう…待って…!」
「んん…待てない」
口を塞いでいた手を絡め取って、指を組ませてぎゅっと握る。
制止の声など聞かず浅く刻むように動くと、ユーベルの口から甘い声が零れ始める。
吐息が重なって、汗ばんでいく肌がしっとりと吸い付き合う。
知らず知らずの内に動きが大きくなって、肌を打ち付ける音と、粘着質な音が入り混じって熱気と共に二人を包み込んでいく。
「あっ、んう! 猫っ、さんっ…!」
「んんっ、こういう時、名前がいいな…くそっ、ぁあ…っ」
理性の箍を外して、夢中で快感を追いかけて、お互いの存在にのめり込む。
じわじわと昇りつめていくユーベルが額まで紅潮させて、泣き顔でアルを見上げる。
もっと楽しんでいたいのに、すぐそこに限界が近付いていて、アルは本能のまま深く口付けた。
「んっ、むぁっ、ふっ…ユーベっ…!」
「んんんっ! う、あっ、もう…ひッ!」
「あぁ俺、もっ…ッ!!」
ユーベルが喉を引き攣らせて、咄嗟に腕で顔を隠した。
同時にビクンと強く跳ねて、二人の間に白い液体が迸る。
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