95 / 109

第10話 猫の迷い-後編-(19/20) ※R18

不規則に締め付ける中の動きに、アルも堪らず彼の内側で弾けた。 腰がひとりでに震えて、その度に容赦なく打ち付ける。 受け止めるユーベルの喉が、甲高く苦しげに呻く。 「――ぁッ! く…っ! んッ…んん!」 「っはあ…! あー、っ…すげ…」 何度も突いて、シーツを握り締めて、ほぼ全てを絞り取られたところで、アルは腕を掴んでキスを求めた。 呼吸を乱したまま応えるユーベルの視線が虚ろに彷徨う。 まだ快感の波に囚われている汗ばんだ顔が淫らで、悦びを覚えたアルが抱き締めようと身体を寄せると、ユーベルの目がはっと我に返って肩が押し留められた。 「だめ…、っん…汚れるから…」 「へえ、誰ので?」 「……私ので…言わせないでよ」 意地悪をして笑うアルが、結局身体を押し付けた。 あぁ…とユーベルの口から落胆の声が漏れる。 「お前のならいいや」 「…そういう問題じゃ」 「いいんだよ」 ちゅ、と音を立てて唇を啄むアルの目が、愛しそうに細められる。 それから、わざと身体を揺らして、くちゅくちゅとぬめりのある音を立てた。 自分の吐き出したものを弄ばれる羞恥で、気だるそうなユーベルが肩を押す。 「ば、馬鹿、やめて…」 「へへ…なんだろうな。嬉しくてつい」 「何それ…、…ふふ」 アルが本当に嬉しそうにはにかむものだから、ユーベルも釣られて笑ってしまった。 腕を突っぱねるのをやめると、アルは甘えるようにぎゅっと強く抱き締めた。 「あー、ずっとこうしてたいなぁ…」 「ん…いや、それはちょっと」 温かさで思わず頷きかけたユーベルが平静に戻る。 未だユーベルの中に居るアルの分身が不意にピクンと反応して、アルがひそひそと声を潜めて囁く。 「なぁ、もう一回…」 「…無理。するにしても休憩しないと無理…」 「えー冷たいな」 「ち、違う…気持ちの問題じゃなくて……」 言いにくそうに目を逸らすユーベルを見て、あーと納得の相槌を打ったアルは、ゆっくりと腰を引いて温かな彼の中から出ていった。 「ん…名残惜しい…」 「…また、今度ね」 離れてしまう寂しさを紛らわせるために、アルが口付ける。 何度かお互いを食むようにキスを交わした二人は、裸のまましばらくの間、繋がることが出来た幸福な余韻に浸っていた。

ともだちにシェアしよう!