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第10話 猫の迷い-後編-(19/20) ※R18
不規則に締め付ける中の動きに、アルも堪らず彼の内側で弾けた。
腰がひとりでに震えて、その度に容赦なく打ち付ける。
受け止めるユーベルの喉が、甲高く苦しげに呻く。
「――ぁッ! く…っ! んッ…んん!」
「っはあ…! あー、っ…すげ…」
何度も突いて、シーツを握り締めて、ほぼ全てを絞り取られたところで、アルは腕を掴んでキスを求めた。
呼吸を乱したまま応えるユーベルの視線が虚ろに彷徨う。
まだ快感の波に囚われている汗ばんだ顔が淫らで、悦びを覚えたアルが抱き締めようと身体を寄せると、ユーベルの目がはっと我に返って肩が押し留められた。
「だめ…、っん…汚れるから…」
「へえ、誰ので?」
「……私ので…言わせないでよ」
意地悪をして笑うアルが、結局身体を押し付けた。
あぁ…とユーベルの口から落胆の声が漏れる。
「お前のならいいや」
「…そういう問題じゃ」
「いいんだよ」
ちゅ、と音を立てて唇を啄むアルの目が、愛しそうに細められる。
それから、わざと身体を揺らして、くちゅくちゅとぬめりのある音を立てた。
自分の吐き出したものを弄ばれる羞恥で、気だるそうなユーベルが肩を押す。
「ば、馬鹿、やめて…」
「へへ…なんだろうな。嬉しくてつい」
「何それ…、…ふふ」
アルが本当に嬉しそうにはにかむものだから、ユーベルも釣られて笑ってしまった。
腕を突っぱねるのをやめると、アルは甘えるようにぎゅっと強く抱き締めた。
「あー、ずっとこうしてたいなぁ…」
「ん…いや、それはちょっと」
温かさで思わず頷きかけたユーベルが平静に戻る。
未だユーベルの中に居るアルの分身が不意にピクンと反応して、アルがひそひそと声を潜めて囁く。
「なぁ、もう一回…」
「…無理。するにしても休憩しないと無理…」
「えー冷たいな」
「ち、違う…気持ちの問題じゃなくて……」
言いにくそうに目を逸らすユーベルを見て、あーと納得の相槌を打ったアルは、ゆっくりと腰を引いて温かな彼の中から出ていった。
「ん…名残惜しい…」
「…また、今度ね」
離れてしまう寂しさを紛らわせるために、アルが口付ける。
何度かお互いを食むようにキスを交わした二人は、裸のまましばらくの間、繋がることが出来た幸福な余韻に浸っていた。
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