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第11話 古傷(9/13)※R18(逆レイプ)
また来た。
すやすやと眠るユーベルの口を、生ぬるい手が塞ぐ。
意識はあるのに、指ひとつ動かせない。
股間を鷲掴みにされて、恐怖で声すら出せずに居ると、今度は下着ごとズボンが降ろされて、恥ずかしい部分が丸出しになった。
まだ幼いそこを、しなやかな手が無理矢理扱いて、強引に勃起させられる。
声を殺したまま、痛みで目尻に涙を伝わせた。
その涙が指先で掬い取られて、目の前で濡れた舌になすり付けられる。
泣くことすら許されず、ユーベルはただ無心になって耐える道を選んだ。
黒い茂みの中で、充血したヒダが涎を垂らして迫って来る。
それが顔に押し付けられて、一度果てるまで必死に擦り付けられた。
苦しい、臭い、怖い。
負の感情だけに支配されても、我慢強く耐えていた。
そうしないと、長引いてしまうから。
だけど今日はしつこい。
声を出せと、うるさく命令して、股間の玉を強く握ってくる。
また別の恐怖に駆り立てられて、声を出すしかなくなった。
『痛い』『いやだ』『やめて』
この三つのワードが、より興奮を煽ることも知らずに呻く。
幼い陰茎はグロテスクなヒダに飲み込まれて、小さな身体の上で熟れた女体が休みなく動く。
『痛い』
嘘おっしゃい、こんなに硬く勃起して。
『いやだ』
あらあら、おチンチンは喜んでるわよぉ? ビクビクして可愛いわ。
『やめて』
うふ、イっちゃう? イキそうなのね? ほらほら、中でイっちゃいなさいよ。
『やめて』
あぁ、いいわその顔。たまんない
『やめて』
ほら、ぜーんぶ受け止めてあげる。だから我慢しないで
『やめて!』
イキなさい。
「やめてっ!!!!」
目が覚めた。
自分の声で。
同時だったかもしれない。
呼吸が乱れて、心臓が異常に早く、寝汗がひどい。
叫んだせいで、ソファーのアルも飛び起きてきた。
「な、なんだ!? どうした!」
頭が混乱する。
心臓が痛い。
今は、いつだっけ。
私はええと、司教で…あぁ、あの頃も司教だ。
違う。
神父様が代替わりして、今の歳は…
「おい、大丈夫か? おいって!」
「っ触らないで!!」
正気に戻る前にアルが触れてきて、反射的に振り払ってしまった。
それで、はっとする。
アルが居る、なら今は、十九だ。
魘されていたのは過去の出来事だ。
そうだ、あの恐怖の対象は、もう居ないのだ。
「あ…ご、ごめ…」
「怖い夢でも見たのか?」
アルが再び手を伸ばして、肩に触れてきた。
…よし、大丈夫、大丈夫だ。
強張りこそしたものの、触れられても平気だ。
この夜は、あの夜とは違う。
そう実感した途端、張り詰めていた糸が切れて、目の前のアルの胸にしがみついた。
「っ…う、…ふ…」
「お、おいおい…ほんとに、大丈夫かよ…」
あぁ、アルの匂いだ、と思った瞬間に、鼻の奥がツンと痛んで涙腺が決壊した。
夢の中の分まで一緒になって、涙がぼろぼろ溢れて来る。
アルのシャツが濡れていく。
でも構ってられない。
私はおそらく人生で初めて、こんなにもしっかり人前で泣いた。
「…っごめ、ん、っ…」
「…いいから。落ち着くまでそうしてろ」
アルの優しい手が、背中を撫でてくれる。
今そんなことをされたら、余計に涙が出てしまう。
私はここぞとばかりに遠慮なく泣いた。
しゃくり上げて、鼻を啜って、横溢した嘆きを二酸化炭素と共に吐き出した。
話せる程度に落ち着くまで、結構な時間がかかったのに、アルの手はずっと優しいままだった。
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