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第3話

元々勉強が得意だった俺と塁は、ここら辺では偏差値の高い高校に行けることになった。 寮のある高校で、俺達二人は寮生活することになった。 高校が始まってしばらく経ったけど、最初は寮生活できないってことだったから今日来るのが初めて。 寮生との顔合わせと寮生活についての説明を合わせたミーティング的なものを、食堂でやっている。 寮生活をする人は少ない上に男女で分かれているからか、全然人はいない。 「初めまして。寮長の鈴橋(すずばし)伶桜(れお)です。バース性はβです。今年度は4人が寮生活するんだよね。じゃあ、それぞれ自己紹介してもらってもいい?一応、バース性もお願いします。」 寮長の言葉に隣の塁が俺を突く。 どうせ悪巧みしかしてなさそうな塁を一度睨んだ上で耳を貸す。 「なぁなぁ、元ヤンです。っていうか?」 ほら、ろくなこといわねぇ。 もう一度睨みつけ軽く膝を殴る。 「いてっ!?」 「ん、どうしたの?」 不思議そうに寮長が塁を見つめる。 「あ、いや。何でもないです、すみません。」 塁が敬語を使えることに驚きながら聞いていると塁に睨まれる。 寮長はまだ不思議そうにしながらも、すぐに切り替えて横一列に座っている俺達に声をかけた。 「じゃあ、左側から。自己紹介お願いします。」 そう言われ、一番左にいた奴が立ち上がる。 こいつ…俺より背が高い。思わず睨みかける。 でも、塁よりは小さいからいいやと思い、代わりに右にいる塁を蹴る。 何となく蹴られると予想していたのか、塁は声を上げなかった。 「塩崎(しおざき)梳羅(そら)です。見た目はほぼβですけど一応バース性はαです。これからよろしくお願いします。」 ペコリと塩崎が頭を下げ、座る。 すると、すぐに隣の奴が立ち上がった。 「…色場(いろば)結斗(ゆいと)です。梳羅と幼なじみです。バース性はΩ…です。あと…Xジェンダーの中性です。……よろしくお願いします。」 そう言い、少し気まずそうに頭を下げて座った。 Xジェンダーの中性…。 周りに性的マイノリティーであることを打ち明けている人がいなかったために、打ち明けている色場に素直に驚く。 「次、お願いしていいかな?」 思わず黙り込んでしまい、寮長に声をかけられる。 「あ、すみません。長橋(ながばし)雪希(せつき)って言います。バース性は…」 Ωです。そういいかけたところで食堂の扉が開いた。 そして、2人の人が入ってきた。 「悪い、鈴橋。遅れた。」 「遅すぎます…ごめんね。先に紹介します。この二人の先生は寮の責任者みたいな感じです。」 俺の自己紹介中に入ってきた二人の先生を見る。 …俺より背が高い。 まぁ、俺より年上だし仕方ないか。 寛大な心で許してやろう。 そう思っていたら片方が吹き出した。 何か嫌な気がして睨みつける。 すると更に笑い始める。 「如月(きさらぎ)先生?どうしたんですか?」 「ごめっ…何でもない…っぷ…はっ…ちょ、一つ言わせて。」 爆笑しながらその如月とかって言われた先生は俺を指差した。 「小せぇな。」 「はぁ!?」 教師のくせに信じられない。 というか、俺はまだ成長期が来てないだけだっての!! 「俺は、小さくねぇ!!」 「嘘つけ、お前170ねぇだろ。最低でも175はねぇとチビだよ。」 冷たい笑みを浮かべて小馬鹿にしたように言う。 こいつ…! 確かに、俺の身長は167だけど?? うぜぇぇぇぇぇぇ!! 話終わってないけど話す気になれず座り込む。 というか、170なかったらチビってそんなわけねぇだろ‼ 「如月先生、長橋君に失礼です。」 寮長が静かにアイツを宥める。 少し悪くなった空気をどうにかしようと、塁が立ち上がる。 「俺、長岡(ながおか)(るい)って言います。αです。隣の(ゆき)とは幼なじみでーす。」 塁…てめぇも余計なことを…。 塁が俺を“雪“って呼んだのを聞いて如月はニヤニヤ笑った。 んだよ…こいつ。 「雪って言うんだ?」 流石に俺もその言葉にはキレた。 馬鹿にしやがって…! 「俺の名前は雪じゃねぇ!!雪希、せ・つ・き、だ!!覚えとけ馬鹿が!」 「へぇ…雪希、ね。…これからよろしく雪。」 だから、誰が雪だよ…。 しかも、これからよろしくってなんだ…。

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