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第6話

「それでな!雪希がそいつらをぶっ飛ばしてくれて…。」 「塁、話を盛るな。」 今日は塩崎、塁が塁の部屋で。 俺と塩崎が俺の部屋寝ることになった。 二人とも快く俺の誘いを承諾してくれた。 いくら友人といっても俺と色場はΩで塁と塩崎はαだ。 何かがあったら困るから、ということで、だ。 今は四人で塁の部屋に集まって中学校までどんなだったかという話をすることになった、塁が思いっきり過去をばらしやがった。 別にいいけどさ…。 「ほんとは違うの?」 色場がきょとんと首を傾げる。 ほんとだったら警察沙汰だって…。 「あぁ。脅しただけだから。」 「脅しただけって…結構やばいこと言ってるからね。」 苦笑しながら塩崎が突っ込んで来る。 二人はサラっと、喧嘩をしていたことを暴露しても普通に接してくれた。 中々いないだろうな、こんな人達。 「塩崎は?どんなだった?」 俺が過去の話をするとどうしてもホクに繋がる。 それが嫌で自分に回って来ないように塩崎に話を回した。 「ん…。色々とめんどくさかったな。αなのにって言葉、めっちゃ聞いた気がする。最初はβだと思って接してくるくせに、分かった瞬間すげぇめんどかった。」 ダルそうに塩崎が話す。 その横で色場が苦笑している。 「色場は?」 「俺は…まぁ、色々あったよ。でも…忘れちゃったんだ。特に去年のこと。そんなことより、お願いだから色場って呼ばないで。下の名前で呼んで。」 悲しそうに笑う結斗を見て申し訳なくなる。 塁が半分寝ながら名案と言わんばかりに声を上げる。 「梳羅に教えてもらえばいいんじゃない!?」 その発言に塩崎が息を呑む。 …去年、何かあったのか? そんな塩崎に結斗と塁は気付かなかった。 ******* 結局、塩崎に聞くことはできず眠くなってきたしということで解散することになった。 結斗は先に俺の部屋に行ってるって言ってたし、塁は塩崎の布団を運んでいる。 今聞けばいいか。 そう思い、塩崎に声をかけて部屋を静かに出て塩崎の部屋に行く。 「話って?」 「…結斗に去年何かあったのか?」 今度は息を呑むことはなかったが、瞳が揺らいだのがすぐに分かった。 やっぱり…一体何が。 「…話すと長くなるよ。それに、想像の何十倍も辛いこと。…俺的には雪希には知っといてもらって結斗が思い出さないようにしてほしいから言ってもいいけど、それでも聞く?」 悲しそうに目を伏せる塩崎に話させるのか。 一瞬迷う。 でも―― 「あぁ。…俺も話すから。」 中学校までどんなだったか、俺は口を開かなかった。 塁は俺が精神的に荒れていたのを知っているから、勝手に事実を言わなかった。 「…わかった。」 何となく、俺にも話したくないことがあったと塩崎は察して納得したように話しはじめた。 その内容は、結斗が忘れているべきことだった。

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