14 / 59

第14話

「ホク、そういや高校もう決めたー?」 「あぁ、塁とユキと同じにする。」 「おい、塁と同じこと言うな。ってか、ホクいい加減俺のことユキって呼ぶのやめろよな。せめてセツにしてくれよ。」 「…やだ。」 *************** これは、去年の夏の出来事。 何回したかわからないこのやり取り。 この時はまだ、これからもずっとこういうやり取りし続けてんだろって思ってた。 *************** 「俺、海外引っ越すことになった。」 九月も終わりに近づいてきたころ。 突然ホクに告げられた言葉。 俺も、塁も信じられなくて、信じたくなくて何も言えなかった。 「しばらく会えなくなるから、その前に俺のお願い聞いてもらってもいい?」 悲しそうなホクの声に俺と塁は二つ返事でそれを了承した。 もちろん、それが俺等を苦しめることになるとも知らずに。 *************** この夢は何度も見た。 だから、この後何があるかはわかってる。 こんなに意識はっきりしててちゃんと考えられるなら夢くらいコントロールできたらいいのに。 できないことをわかりつつ、そんなことを思う。 あぁ、ほら。 あの日だ。 あの日の記憶。 俺と塁を苦しめ続けている記憶――

ともだちにシェアしよう!