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第16話(※)
俺はホクに殴られて気絶していたらしく、気づいたらベッドに横になっていた。
でも、ただ横になっていたわけじゃない。
逃げられないように鎖でつながれていた。
「どういうこと…」
状況が理解できなくて思わずつぶやく。
あまりにも静かな空間に、俺の声が響き渡る。
「ユキ、起きた?」
扉の方からホクの声が聞こえ、扉へ近づく。
ドアノブに手をかけようとした瞬間、声が響いた。
「雪希っ!!開けんな!!開けちゃだめだ。思いっきり閉めろ!!!」
「塁!?なんで…」
聞き終わる前に、扉が開く。
そこには、ホクが立っていて。
奥には俺と同じように鎖でつながれた塁がいた。
「塁は、そこで大人しくしてて。何かできると思わないでよ。」
ホクは塁にそう告げ、扉を閉めた。
向こうから、塁の大声が聞こえる。
でも、その声がちゃんと聞き取れないほどに俺はホクに対して恐怖を抱いていた。
「ユキ、俺のお願いはね。ユキとひとつになること。」
「は…」
ホクの言ってることはよくわからないけど、ホクが怖いと純粋に思って。
塁のいる方へ向かおうと扉へ手を伸ばす。
「だめだよ、ユキ。お願い聞いてくれるって言ったじゃん。」
「や…だ。ホク、怖い…から。」
ぎゅっと手を摑まれベッドの方へ連れていかれる。
どんなに必死になって逃げようとしても、ホクはその手を離さない。
「まず、ひとつになるってどういうことだよ。…俺のこと、殺すとかじゃないよな……?」
「…それも考えなかったわけではないけど。ユキには生きててほしいから。」
綺麗な目をスッと細めてホクは楽しそうに笑った。
考えなかったわけではない、って…
「でもね、俺が今からするのは違うこと。まぁ、セックスだよ。」
淡々と言ったホクに慌ててストップをかける。
「お前、待て!!俺は、男だろ。ホクも男。何を言ってんだ。」
「大丈夫。俺、ちゃんとユキのこと気持ちよくしてあげるから。ココ使って。」
ココ、とホクが触ったのはアナル。
「ホク、何言って――」
「いいから。」
ホクは俺の言葉を遮って、キスをしてきた。
キスをしながら、アナルに指を入れ中で動かす。
「やめっ…いやだっ…」
「大丈夫、大丈夫。んっと、ユキのいいとこはこの辺かなー」
グリっとホクの指に一か所を押され、思わず体が跳ねる。
何、これ…
「あ、あってたんだ。よかった。一回、イこっか。」
「なに、やだ…あっ…やめ…」
ホクは俺の言葉を無視してそこを押し続ける。
訳も分からない快感だけが体に押し寄せて、ホクが怖くて。
俺は、塁の名前を叫んだ。
「るいっ!るい、助けて!!」
「…雪希、塁なんかよりここにいる俺を見て。」
「やっ…イきたくない…るい…るいっ――」
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