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第17話
「き…せつき…雪希…!!」
「あっ…」
ぎゅっと、握られた手の痛みと俺を呼ぶ声で目を覚ます。
この夢を最後まで見ないで済んだのは初めてで。
その分、精神的に不安定な状態だった。
「雪希、泣きながら叫んでたから…」
「コウ…」
大丈夫か、と俺の目を見つめるコウに静かにうなずく。
ところで…コウの部屋ってこんなだったけ。
「俺の家だから、ココ。寮じゃないからな。」
なんとなく、俺の言いたいことを察したのか先にコウが口を開く。
道理でソファーとかがあるわけだ。
ってか、寝室ってソファーいらなくね?
「ありがと。コウ…その、なんも聞かないで助けてくれて。」
「あぁ、そんなことより。……雪希は何に苦しめられてるんだ?」
少し聞きづらそうに、でもはっきりとコウは俺にそう聞いた。
俺が、苦しめられているもの。
「過去…」
「トラウマになるような出来事があったってことか。」
コウの察しの良さに驚きながらも頷く。
「俺に言ってどうにかなるわけじゃないと思うけど、言いたかったら言って。聞くから。…もちろんそれは今すぐじゃなくていい。」
なっ、とコウは俺の頭を撫でた。
とにかく精神的に疲れた俺はただ頷いて、ぎゅっとコウの手を握った。
コウは少し驚いたみたいだったが何も言わず、そのまま手を握り返してくれた。
「寝てていいよ。そばにいるから。」
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