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第18話
「おはよ、コウ。」
「ん。もう大丈夫そう?」
結局あの後、俺は寝ては泣いてコウに起こされるというのを繰り返した。
コウはそんな俺をバカにしたりせず、毎回ただただそばにいてくれた。
「あぁ、ありがとう。」
「ならよかった、緑茶飲む?」
コウの質問に頷きながら立ち上がる。
ずっと横になってたから少しふらふらするけど、昨日とは違ってちゃんと歩けるし大丈夫。
「ありがと。そういえば、俺がコウの家にいるって塁とかは知ってる?」
コウからコップを受け取りながら聞くと、コウは首をひねった。
「わかんね。光舞にしか言ってないけど、まぁうまく言ってくれただろ。」
【なにかあったられんらく】と、俺にわざわざ伝えてきた塁に少しくらい連絡しとくかとスマホを開く。
「やっば。塁、逆にこえぇよ。」
スマホを開くとおびただしい数の不在着信と通知の数。
お前はストーカーかっての。
まぁ心配させるのも無理はないけどさ。
「うわぁ。あいつってそういうやつなん?」
コウも少し引きながらスマホ画面をのぞき込む。
なんて答えればいいんだろ、なんて考えてるとコウはくしゃくしゃっと俺の頭を撫でた。
「おい、なにすん――」
「無理して答えなくていいから。」
俺は朝食作ってくるな、と言ってコウは部屋から出て行った。
「ありがと。」
閉まった扉に向かって感謝を伝えても意味はないけど。
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