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第19話

「雪希!!心配したよ!!!!!」 コウの家で朝食を食べてから、寮に帰ってきて静かに自分の部屋の目の前で抱き着いてきたのは塁。 心配かけたのは俺だけど、連絡したじゃん。 …5分前に。 「悪い。大丈夫だから、な。」 引っ付いて離れようとしない塁を引きはがし、結斗と梳羅の部屋へ向かおうとする。 俺がどこへ行こうとしているのか考えがついたのか、塁が俺を引き留める。 塁はどう伝えるかと、少し迷った風にしてからゆっくり口を開いた。 「結斗は今いない。梳羅はいるけど。」 「ん?わかった。」 なんで結斗いないんだろ、と思いつつ梳羅の部屋の扉をノックする。 「梳羅。俺だ、雪希。」 短く、そう伝えると扉が開き梳羅が顔を見せた。 どこか疲れた表情の梳羅に違和感を覚える。 「雪希、なんで二人同時にいなくなるんだよ。」 辛そうな表情でそう呟いた梳羅にまさか、と思う。 梳羅が話すのは、俺と結斗と塁の三人だけ。 そしてさっき、塁が言ってた『結斗は今いない。』という言葉。 「結斗も、いないのか…?」 「あぁ、多分…嶺に連れてかれた。」 嶺って、結斗と梳羅の幼馴染の… もし、梳羅の言う通り本当に結斗が嶺に連れてかれてたりしたら…? つまりそれは、俺がホクと何があったかを忘れてるときにホクに拉致られることと同じ。 「なんで…何があったんだ。」 「昨日、午後三人で買い物に行ったんだ。結斗がトイレ行ってくるっていうから待ってたんだけど、全然来なくて。遅いなって、塁と話してたら『嶺と会って話してるから遅くなる』ってメッセージが来て。」 それから色々な方法で探してるけど全然手掛かりがなくて、と梳羅は目を閉じた。 なんで、嶺ってやつがそこにいるんだ、とか。 タイミングが良すぎて仕組まれてんじゃないか、とか色々思うところがあるけど。 今はそんなことより結斗を探し出さないといけない。 「俺も、探すの手伝う。なんとかして、結斗見つけよう。」 「雪希…ありがとう。」 でも、一回梳羅は休憩して。と伝え、梳羅の部屋を出る。 塁に協力を仰ごうかと思ったが、塁は塁で疲れてそうだったし一人で探そうと決める。 「とはいっても、相手の顔も知らないんだよな。俺。」

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