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第20話
「あ、波飛さんなら何か知ってるかもしれないな。」
波飛さんはここら辺じゃ有名だし、多くの人と関わりがある。
結斗と梳羅が通ってた中学は高校の近くって言ってたし、波飛さんに会えれば情報もらえそう。
なんで有名か、なんてここら辺のトップだからなんだけどな。
「久しぶりに、波飛さんに会いてぇし丁度いいな。」
とは言いつつ、俺がホクと知り合ったのは波飛さんとホクが幼馴染だったからで。
もしかしたらホクが海外から帰ってきてて波飛さんのとこにいるかもしれない、という不安は拭えなかった。
でも。
「結斗の手がかりを見つけたい」
その思いのほうが強かった。
寮を出るときにはちゃんと誰かに伝えておかないと心配をかける(特に塁と梳羅に)ということを学んだ俺はコウに伝えようとコウの部屋の前まで行った。
「コウ?ちょっといい?」
「どした。今開ける。」
コウの返事があってすぐ、扉が開き部屋へ招き入れられる。
俺はすぐに結斗がいなくなったことと、情報を持ってそうな信頼してる先輩に会いに行くと伝えた。
「雪希、悪いことは言わない。俺もつれていけ。」
心配そうな表情でそう言うコウに少し戸惑うが、波飛さんは知らない人と会うのを極端に嫌う人だ。
「それは、どうしてもできない。絶対に今日中に帰ってこれるし、帰ってきたら一応部屋ノックするから。」
「……連絡して。連絡先これだから。」
コウは渋々自身の連絡先を俺に渡してきた。
「ちゃんと連絡してくれ。心配なんだ。」
コウってこんな心配性なやつなんだな、と思いつつうなずく。
コウの部屋を出かけて、ふと思い出したように俺はコウに声をかけた。
「梳羅と塁に、上手く伝えといてほしい。あと、ちゃんと寝るようにって。特に梳羅。」
「わかった。俺のほうでも情報集めてみるよ。」
だから無理はするなという眼差しのコウに静かに頷いて部屋を出る。
先に、波飛さんに連絡だけしておこう。
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波飛さん、お久しぶりです。
今から会うことってできますか?
お聞きしたいことがあるんです。
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短すぎる気もしたが、メッセージを送ると以外にもすぐに返事が来た。
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久しぶりだな。
いいよ、いつものとこ来てもらってもいい?
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はい、すぐ伺います。
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短くそう返信すると、俺はいつものとこに向かって走り出した。
俺と塁が初めて波飛さんに会った場所。
ここからは走れば10分もかからない。
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