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第23話
波飛さんが出て行ったのを確認して、ホクが口を開いた。
「ユキもお人よしだよな。…結斗、だっけ?自分はいいから助けたいって??」
ホクがいるにも関わらず、この家に滞在することを決めた俺への非難だとすぐに分かった。
色々言いたいことはあるのに言葉は何一つ出てこない。
「覚えてるんでしょ。ちゃんと。」
ニコッと笑みを浮かべながら一歩ずつ俺に近づいてくるホクにあの日と同じ恐怖を覚える。
怖くて、声が出なくて。
少しずつ、ホクがフェロモンを強めるのがわかる。
「さ、先にさ。れん…らくさせて。」
震える声でそう告げるとホクはきょとん、としたが楽しそうに微笑んで。
「いいよ。ただ、ここで電話してね。」
と言った。
ホクが何を思っているのかはわからなかったけど、俺はカラカラになった喉を潤すために口をつけてなかったお茶を飲む。
一番最近登録されたコウの電話番号を押して、電話をかける。
ただ、帰れなくなった。
そう告げるだけだから。
「どした。」
コウの声になぜが恐怖が少し薄れるのが分かった。
俺の隣に座っていたホクは少し眉をひそめたかと思えば立ち上がって俺の後ろに回り込んだ。
「今日さ、波飛さんのとこに泊まってくことになっふぇっ!?」
俺の後ろに回り込んだホクに服を捲られ素肌を触られ変な声が出る。
そのままホクは俺の乳首をいじり始めた。
「雪希、どうした?」
「なんっ…でも…ないっ…!」
何でもない、というには無理があるよなとか思いつつもそういうしかなく。
ホクがここで電話をかけさせた意図に今更気が付く。
❛ほんとに、どうしたの??ユキ。❜
耳元でホクにそう囁かれ、背筋が震える。
怖いのか、いや。
これはそうじゃない。
「ほ…く…お前、盛った…だろ……」
この感覚には覚えがあった。
あの日、ホクに疑似発情を引き起こす薬を飲まされてからと同じ感覚。
「雪希!!今、どこにいる!?」
「ごめんね。俺等、これからお楽しみだから。」
そう告げると、ホクは通話を切ってそのまま携帯の電源も切った。
もう俺に、助けを呼ぶ手段なんてない。
「ホクっ……!」
「大丈夫だよ、前より気持ちよくしてあげるから。」
俺、ずっと雪希だけが好きだったんだ。
耳元でそう囁いて、ホクは俺を抱きかかえた。
ホクの部屋に連れてかれるなんてすぐにわかった。
「やめっ…」
「そういいながらも、感じてるじゃん。あそこもひくついてんじゃない?俺思い出して。」
ホクは盛り上がった俺のズボンを見て楽しそうに笑った。
そんなことない、と首を振ってもホクは変わらず楽しそうなまま。
疑似発情じゃ番になることはないけど、体は発情期と同じ反応をする。
「じゃあ、今度は忘れられないように俺がいなきゃダメになっちゃうくらい気持ちよくしてあげないとね。」
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