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第26話

「起きて、ユキ。」 ホクに揺さぶられ目を覚ます。 ホクは嬉しそうに笑って俺の頬にキスをした。 「なっ…」 「おはようのキス。これから毎日してあげるから。」 朝ごはん持ってくるからそこで待ってて、というホクに渋々うなずきホクが部屋を出たのを確認して辺りを見回す。 ホクの部屋じゃない…? 昨日、めちゃくちゃにされながらいた部屋なんてまともに覚えてないけど何となく違うような気がする。 そうだ、そんなことより結斗のこと波飛さんに聞きたい。 そう思い、ベッドから出ようとしたところでホクが部屋に戻ってきた。 ベッドから出ようとしている俺を見てホクは苛立ったようだった。 「逃げんの?」 ただ一言。 まるで俺が悪いかのようにそういうホクが怖くて何も言えなくなる。 「…波飛さんに聞きたいんだ。結斗のこと。」 そういうとホクは黙り込んだ。 かと思えば―― 「結斗って子の名字教えて。」 と短く切り出した。 俺は戸惑いつつも”色場”だと伝える。 「そう。色場は無事だよ。坂妓が助け出したから。」 波飛さんのことを名字で呼ぶホクに驚きが隠せなかった。 初めて会った時も、今までもずっと波飛って呼び捨てにしてたのに… 「ならよかった。波飛さんに感謝しないと。」 ただ、当たり前のことを言ったはずなのにホクはイライラしたように俺との距離を詰めてくる。 「ねぇ、俺以外を名前で呼ばないで。」 強く、俺の両手を握りしめベッドに押し倒される。 何を言ってんだこいつは、と思いつつもホクが怖すぎて頷くことしかできない。 「な、なぁホク。俺、コ…如月に明日帰るって昨日伝えたから一回帰っていい?」 「だめ。ユキは今日から俺と住むから。勉強も家事もしなくていい。全部俺がやるから。」 そのために俺、いろいろ頑張ってきたんだよ?と屈託のない笑顔を浮かべるホク。 俺が返事ができないでいると、ホクはあの甘ったるいキスをして―― 「嫌、っていっても帰さないから。もうユキは俺だけのもの。」 と耳元で囁いた。

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