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第28話
気が付いたら、俺はコウの家に連れてかれていた。
「いつの間に、寝てたんだろ……」
コウの家に来たのはこれが二回目だけど、なんか落ち着く。
足音が少しずつ近づいてきて、扉が開いた。
慌てて起き上がったけど怖くなって動けずに思わず身を縮める。
ぎゅっと布団を掴んで開くドアを見つめる。
ここは、コウの家なんだから。
ホクが来るわけないのに。
「…雪希、大丈夫か。」
優しく、俺の頭に手をのっけてコウが言う。
俺を責めることなく、俺を包む声。
コウだ…………
俺を苦しめる、ホクはここにいない。
それを感じた瞬間、涙が止まらなかった。
「うっ…こわかったぁ…………」
ガラでもなく、泣きじゃくって。
コウは俺が泣いている間ずっと、俺を抱きしめて頭を撫でていてくれた。
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