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第31話(※)

気づいた時には既に時遅し。 起き上がっていた俺の体はコウによってベッドに押し倒されていた。 俺が逃げないようにと、両手首を掴んだまま―― 俺の上にあるのは天井ではなくてコウ。 コウは俺を見つめながらゆっくりと口を開いた。 「本当に無理だって思ったら、輝って言って。やめるから。」 「だったら、最初っからするなっ‼輝っ!」 逆に誰が大丈夫っていうと思うんだよ‼ 何をされるかなんてもうわかってる。 この数日で、俺がどんな目に遭ってきたと思ってるんだ。 「北斗…だっけ?あんな奴にされたことなんて俺が忘れさせるから。」 そういって優しくキスをしてきた。 そのまま俺の頭を撫でる。 大切に扱われてる気がして悪い気はしなかった。 悪気がないのはわかってるけどどうしても出続けるαのフェロモンが強くなった気がした。 ホクのフェロモンよりはコウのフェロモンの方が好き。 安心するし、なんかあったかくてふわふわする。 この前みたいに怒ってるときのフェロモンは嫌だったけど―― 「…雪希、発情期じゃないか?」 突然、コウが身を離してそう言った。 発情期? 発情期なんて来たことないしわかんない。 そんなことより―― 「離れないで、コウの匂い好き。」 「っ‼発情期だ、雪希ちょっと待て。」 コウの匂いが恋しくてコウの腕を引っ張る。 コウはパッと身を翻して何かを探している。 コウの匂いが恋しい。 ただそれだけで、俺は何も考えずにコウがさっき脱いだ上着を手に取った。 顔を上着に埋もれさせる。 「コウの匂いだぁ……」 コウの匂いを思いっきり嗅いだ瞬間、体が熱くなったのを感じた。 後ろが濡れてるのもわかる。 これが、発情期でヒート? まともに考える暇もなく、コウに腕を引っ張られる。 「煽るな…俺はそんなに我慢強くない。」 必死になって耐えているコウを見つめる。 コウだったら、嫌じゃない。 そう思う自分がいた。 「コウ…我慢しなくていいよ。俺、コウだったら嫌じゃない。」 「っ…煽ったのは、雪希だからな。」 そういうとコウは俺の上に覆いかぶさって俺の服をはぎ取った。 自分だけ裸にされてる。 それが嫌でコウの服に手を伸ばす。 「コウも…脱ぐの。」 「煽りすぎだ…」 コウは嫌な顔をせずにすぐに服を脱いだ。 コウのが目に入り思わず息を呑む。 ”これが欲しい” ”これで満たしてほしい”

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