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第39話
「俺、こんなに誰かを、好きになるなんて、思って、なかった。だから...ホクに犯された時も苦しかったけど、それだけで。どう、せ、誰も好きにならないし、なんともない、って。」
「雪希。」
「初めて、好きになって、好きに、なられたいと思って。でも、俺は、汚い...から。」
例え実らなくてもいいから、気持ちくらい伝えたかった。
だけど、その資格すら俺にはなくて。
「雪希、しっかりしろ。」
「コウが大好きで仕方がないのに、俺には、何も」
「雪希っ!!!!」
ぎゅっと、波飛さんに抱きしめられたのが分かった。
俺を抱きしめてる波飛さんは俺よりも悲しそうで。
「ごめん、ごめんな。俺が、もっと早く言うべきだったんだよ。雪希の母親のこと...」
「俺の、母親...?」
「あぁ。でも、それよりなんで降りてきたんだ?輝が北斗のやつと一緒に雪希が起きるの待ってたはずだけど...」
あれ、さっき急にヒートが来たのに...波飛さんはそれに気づいてない?
もう治まったってこと?
それとも、波飛さんは抑制剤飲んでるから?
「急に、ヒートになって...」
「あぁ、確かに匂いはするし...一回ここから出よっか?俺なら抑制剤が効いてるし平気だから。」
波飛さんの言葉に頷いて体を少し離す。
そういえば...コウはさっき『波飛も結構強めの抑制剤飲んでるし』って言ってた......
ホクは抑制剤飲んでないみたいだったし....
「ねぇ、波飛さん。波飛さんが飲んでる抑制剤ってコウが飲んでるのと同じ?」
「確か同じだったはずだけど...どうした?」
波飛さんとコウが同じ抑制剤を飲んでて、コウは俺のフェロモンの影響を受けてたのに波飛さんは全然受けてなかった...
「コウは...Ωのフェロモンに敏感なの?」
「いや、そんなことないはずだけど。どうしたんだよ、一体。」
「ヒートになったとき、ホクは抑制剤飲んでなかったみたいだからラットを起こしかけてたんだけど...コウも反応してたんだ、俺のフェロモンに。」
俺の言葉に、波飛さんは驚いたようだったけど納得したように頷いた。
そして小さく呟いた。
「...嘘じゃ、なかったのか。」
「何が?」
「いや、今はいい。一回...寮に行こうか。設備がしっかりしてるんだろ?」
波飛さんの言葉は気になりつつ提案に頷く。
そろそろ寮に戻ってあいつ等に大丈夫だって伝えたかったし丁度いい。
「車を頼むから寝てていいよ。着いたら起こす。」
波飛さんの言葉を聞いて俺は安心して目を瞑る。
発情期が終わって、気持ちが落ち着いたりしたら聞きたいことがたくさんできた...
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