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第41話 波飛side

それから七海さんは星――俺の母親について教えてくれた。 俺の母親と七海さんは幼馴染でずっと仲良しだったこと。 母親はもともと体が弱かったこと。 結婚して俺を産まれて一か月もしないうちに父親が交通事故に巻き込まれて死んだこと。 悲しみつつも、俺を育てるために必死になって働いていたこと。 そして、俺が3歳の時―― 父親と同じように母親も交通事故で死んだこと。 俺は、捨てられたわけではなくて愛されてたけどそれを記憶に残せないうちに両親がいなくなってしまって叔父さんに引き取られていたこと。 「波飛くんのお父さんはね、兎汰(とた)さんって言うんだけど、兎汰さんが亡くなって暫くして星に言われたの。『...もし、私に何かあったら波飛を守ってあげて。私と知り合いだって言わなくていいから』って...でもまさか本当にあんな早く死んじゃうなんて思ってなかった..」 七海さんの話を聞いて唖然とする。 俺の母親も、父親も俺を捨てたわけじゃなかった...? この話は全部七海さんの作り話で嘘かもしれない。 でも、七海さんはわざわざそんなことしないし―― 「もっと早く言えばよかったね、ごめんね。波飛くん」 申し訳なさそうに頭を垂れる七海さんを見て涙が浮かぶ。 本当に俺は、愛されてて―― 「ちゃんと、会いたかった....母さん、父さん.......」 堪えようとした涙は自然に頬をつたう。 どんなに殴られても、けなされても一回も泣かなかった俺の涙を見て七海さんはびっくりしたようだった。 「あ、え⁉あ、そ、それでね――」 「ふっ、七海さん慌てすぎ。」 慌てだした七海さんを見て思わず笑みがこぼれる。 そんな俺を見て七海さんは一言だけ零した。 「.......よかった。」

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