44 / 59

第44話 波飛side

『波飛さん‼波飛さんのとこに北斗はいますか?もしいるなら、雪希を守ってください‼言わないでって言われてたんですけど...去年の9月、北斗が海外に行くことになったときに雪希は....雪希は北斗にレイプされてるんです...‼』 北斗の名前を出した瞬間に黙った塁に代わって話始めた雪希の先生だと名乗る男との会話中、突然塁が言った言葉に耳を疑った。 俺は、雪希のことを全然守れてなかった。 七海さんとの約束を破ってしまった。 「北斗は俺のとこにいる。今外だから急いで帰るよ。......ごめんな。」 雪希が喧嘩をやめるって言ったのがちょうど去年の秋の終わり頃だった。 喧嘩をやめたのは、北斗から距離を取るためだったのか.... 今更になるけど、ちゃんと守らせてくれ 俺を救ってくれた七海さんが俺に託してくれた雪希。 七海さんがかつて見せてくれた写真とは全く違う表情だった雪希。 そんな雪希が笑ってくれて。 俺は確かに嬉しかったんだ。 だから、ガラでもなく一緒に写真を撮って。 ずっと、四人で入れると思ってた。 塁との電話が終わってから走り続けていたが信号で止まり、唇を噛む。 北斗に対する怒りと、自分自身に対する怒りでおかしくなりそうだった。 握りしてめていた携帯から北斗へ電話をかける。 "プルルルルル プルルルルル........" 途切れることなく、コールが続く。 北斗が俺の電話に出る気がないのが嫌でも分かった。 コールの鳴り続ける電話を片手に走り続けて、気が付けば家についていた。 諦めて電話を切り、家に入る。 俺が家を出たときにはいた北斗はいなくなっていた。 ........雪希とともに。 車に揺られながらここまでの流れをすべて思い出し、やりきれない気持ちで雪希の頭を撫でる。 ツーっ、と雪希の頬を涙が伝う。 その涙を拭いながら輝とのやり取りを思い出す。 ””「輝っ‼ちゃんと向き合う気がないなら雪希に関わるなっ‼」 「わかってるよ、だけど雪希は俺の運命だ。」 「関係ないんだよ、そんなの‼北斗のとこに行くときに俺言ったよな?雪希の過去のことも全部。理解したうえで関わってるんじゃなかったのかよ⁉」"" あの時は輝に対する怒りでテキトーに流してたけど、さっきの雪希の話を聞くに多分本当のこと... 運命と巡り合う確率はものすごく低いと言われている。 一人のαとして、しっかり知っている。 さっき、雪希がヒートであることに俺は気づけなかった。 初めての発情期はフェロモンが弱いっていうしそれもあるのかもしれない。 でも、俺と同じ抑制剤を飲んでるって言ってた輝は雪希がヒートだとわかってて。 フェロモンに敏感なタイプではないって言ってたからやっぱり二人は運命なんだろう。 可愛がって大切にしている雪希に運命がいて、正直複雑な気持ちだけど。 雪希は輝を信頼してるみたいだし、雪希が幸せになれるなら正直かまわない。 でも、それならちゃんと雪希を幸せにしてもらわないといけない。 輝に連絡を取ろうと雪希の頭を撫でていた手を離して携帯を取ろうとすれば雪希が顔をしかめる。 そんな雪希に苦笑しながら反対の手で携帯を探し、輝へ連絡をする。 話は、また今度にしよう。 軽く、輝に伝えておけばいいだろう。 そしていつか、ちゃんと俺の口から話そう。 雪希は困るだろうけど、今はこれが最善だ。 輝に連絡をしようと思って、ふと彼のことを思い出す。 先に、彼に連絡しておくべきだと思った。 ".....、寮の雪希の部屋に来い。場所は送る。よろしくな。" ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー お久しぶりの更新です 更新頻度が低くてすみません💦

ともだちにシェアしよう!