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第55話 雪希side
目を開ければ、視界に入るのは真っ白な壁。
家ではないのだけわかってどこかはわからない。
でも、どこでもよかった。
「....起きててもなんもないし、寝よう。頭も痛いし...」
何かをつぶやいたところで返事はない。
一人。
俺の一人の空間。
どこにいたって。
だから、目を瞑った。
何も考えないで済むように――
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頭が痛い。
俺は寝てるのに。
起きては寝て、起きては寝てを繰り返した。
多分、10分もたたない間に。
何でこんなに苦しまなきゃいけないの?
俺、そんなに悪いことした...?
好きになっちゃいけないってわかったから、コウからも離れた。
学校で会うだろうけどそれは仕方ない。
目を合わせずに、最低限の関わりだけでいればいい。
ここまでしても、俺は苦しまなきゃいけないの?
ただ、誰に愛されたいって思っただけ
でも、それすらダメならそんなこと思わないからさ。
忘れてしまえればいいのに。
コウのことも。
俺自身のことも。
全部――
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