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第57話 雪希side
「しばらく会えなくなるから、その前に俺のお願い聞いてもらってもいい?」
北斗にしては珍しく、悲しそうな声でそう言われた。
だから、今日行かなきゃ。
「急がないと...!」
北斗との約束を思い出して慌てて飛び起きる。
え.......?
「ここ、どこ.....?」
俺の家じゃない。
塁に連絡して、北斗に連絡しないと。
「携帯...あ、あった!」
塁、塁、塁...
塁を見つけ電話をかける。
prrrr....
「あ、もしもし?塁?」
「え、雪希!?大丈夫なの???」
「え、何が?そんなことより、今日どこ集合する?あ、でも俺今家じゃないんだよ、何処かわかんなくてさ。」
塁はなんかめちゃくちゃ心配してるっぽかったけどよくわかんないから状況を軽く説明する。
塁は何も言わなかった。
「え、塁?」
「ごめん、波飛さんから連絡来るまで待ってて。」
そうとだけ言って塁は電話を切った。
え、ちょい待てよ。
北斗との約束は!?
「まぁ、ちょっと待つか...」
待つこと約10分...
扉が開いたかと思えば、汗だくの波飛さんが誰かと一緒に入ってきた。
「あ、波飛さん。ここってどこ?なんか、塁に連絡したんだけど塁、急に電話切っちまってさ。」
「...雪希、昨日合ったこと覚えてる?」
恐る恐る、というように波飛さんに聞かれる。
何でそんな心配そうなんだ?
「昨日は、北斗にお願い聞いてほしいって言われた。だから、今日北斗に会いに行かないといけなくてさ。」
「....1年か。」
空を仰ぐようにして、波飛さんは何かを呟いた。
何て言ったかは聞き取れなかったけど、そんなことより...
「波飛さん、この方は...?」
「雪希、ちょっと待ってて。すぐ戻ってくる。」
波飛さんは俺の質問には答えず、一緒に入って来た人に声をかけて二人で出て行ってしまった。
何なんだろう。
俺、何か忘れてんのかな?
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