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第4話

小料理屋から追い出され帰宅すると、直之は上着を放り投げ適当に敷いた布団にドスンと横になった。 酒が回っているのか直之の思考がゆらゆらとおぼつかなくなる。酒には強く普段ほとんど悪酔いはしない。それなのに。 取り留めのない残像が浮かび消えて、次第に白い影となる。 ──鶏がらのようにガリガリの身体に透き通るきめ細かな肌。 それはよく見れば青い血管が透けて見えるまでに白かった。それなのに平らな胸に色づく紅色は艶めかしいほどに瑞々しく、誘惑するようだ。その光景はいつも直之を堪らなくする。何故か慈しむ心と狂暴な気持ちの相反する感情が湧き上がってくる。 「また、そこばっかり……っも、いや、だ……っ」 執拗に繰り返される愛撫に、か細い声が悲鳴を上げた。 「嫌なら、こんなになるはずないだろ」 直之の手が下着に潜り込み直に握り込む。そこには熱い雄の昂ぶりがあった。 「っふ、は……あ……」 「気持ち良いから、こんなに濡れるんじゃないのか」 口に含んだ小さな膨らみを形が変わるほどに強く吸い上げる。 「あ、あぁ、っ、いい……いい、から……っ」 「いいからなんだよ」 求めるものを知りながら、その口から言わせようと直之は意地悪に笑う。 細い身体は快感に身を捩りながらも言葉に出せない。 追い打ちを掛けるように先端を歯でキツく噛み、揺さぶりを掛けるように下肢の手を上下に扱いた。 「やぁ、あ、あっ、だ、め……も、早く、はやく、なおので、いっぱいにして。──俺の中、埋めて…っ」 「なつめ──」 直之にとっても限界だった。 腰はすでに重たく耐え難いほどに疼き、貫いて思うさま蹂躙しないことには治まりがつかない。 隙間の作れないほど身体を密着させ、直之は一気に腰を進めた。 「──っあ、は、……なおので……いっぱい……っ」 「まだ半分も入ってない。もっと全部、だ──」 「うん……う、んっ……頂戴、もっと、ずっと、なおの体温感じたい──」 苦しいはずなのに、そう言って求める恋人を直之は愛おしそうに見つめる。 「ずっと、一緒にいような──」 荒くなっていく互いの呼吸を感じる。 吐息が加速し、溢れ出した涙が頬を伝うのを直之が舐め取ると掠れた声が聞こえた。 「は、あっ……もう……もうダメ、い、っちゃ……なお──っ」 「イケよ。俺もイクから──なつめ……」

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