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第5話
「腹が減った」
乱した褥の上で身支度を整えた直之は言った。ぶっきら棒で甘えた子供のようだ。
「これしかないけど」
苦笑して出されたのはいつもと同じ冷奴。
「こんなのしか食わないから、なつめはいつまでもガリガリなんだ」
「でも好きなんだよ。俺の好きなものは冷奴と、なおだけだ」
「俺はつまみと同列か」
不満を口にする直之に、彼はまた苦笑する。
「──ごめん。なおの方がずっと好き」
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