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第5話

 クッションに俯せたまま荒い息を吐く江崎くんの頭を撫で、森永さんは飲み残したままのビールを飲み干します。江崎くんにも「何か飲む?」と聞くと、それ、と江崎くんは同じく飲みかけのチューハイを指さします。 「酒? 水持ってくるよ」 「……それで、いいです……」  と言いながらも動かない江崎くんを森永さんは抱き起こし、チューハイの缶を江崎くんに持たせると口元まで運んでやります。ふぅっと息をつくと、江崎くんは半分程残っていた缶の中身を全て飲み干しました。森永さんに肩を抱かれて凭れた江崎くんの身体に再びアルコールが染みていきます。二回の射精で酔いはだいぶ抜けたような気がしますが、正直今は正気に戻りたくありません。  そんな江崎くんの心を知ってか知らずか森永さんは飲み欲した缶を取り上げると、肩を抱く手に力を込め横から江崎くんを抱きしめます。  その力に江崎くんの心臓は跳ね上がりました。酔っているんじゃなきゃ、この反応はおかしいよな? やっぱりまだ相当酒が残ってるようだと江崎くんはほっとします。 「江崎」  森永さんは名前を呼ぶと江崎くんの頬に唇を落とし「キス、してもいい?」と聞きました。江崎くんは、今更?と思いながらはキスをねだる仕草で誘うと、我慢できないというふうに森永さんが喰いついてきます。そして差し込まれた舌に残るビールの苦みで、なぜキスしていいか聞かれたのかに思い当たりました。  フェラ、したからだ……。  思い当たると、思い出してしまいます。今、口の中を蹂躙しているこの舌がちんちんを舐めあげ、この唇が吸い上げて、この口の中に射精した……。  江崎くんはなんだか堪らない気持ちで森永さんのキスに応えます。応えているうちに、自分のちんちんがまた元気を取り戻し始めているのを感じます。  うわっ……まだやる気か!俺のちんちん……!! さすが、俺の童貞力……っ。  江崎くんが自分の童貞力に呆れかえっているうちに、森永さんはクッションを背もたれにした江崎くんにキスを繰り返しながら、片手で持ってきたエネマグラとコンドームを探り当てます。森永さんが何かををしている気配に気付いた江崎くんは、森永さんの手に握られたソレの存在に気づき慄きました。 「それ、入れるの?」  江崎くんが訊ねます。もう「どこに」も「だれに」も訊かなくても、さすがに『森永さんが、俺の尻の穴におもちゃを入れる』ってわかっています。 「入れたい。入れてもいい?」  ダメと言わせる気はさらさらありませんが、森永さんが江崎くんに訊き返しました。はっきり嫌だと言えずに、江崎くんが答えます。 「そんなの、無理です」 「さっき、拡げたから大丈夫。無理じゃない」 「痛そうだし、」 「痛かったらすぐ止めるから……」  江崎くんと森永さんは茶番のようなやり取りを繰り広げます。江崎くんは森永さんが退かない事はわかってるし、森永さんも江崎くんが躊躇っているだけなのは充分わかっています。それでも言葉の遊びのように問答を繰り返して、江崎くんが堕ちるのを待ちます。 「それ、どうしても……?」  江崎くんはエネマグラが恐くてなかなか「うん」と言えません。 「これ、気持ちいいとこがわかるようになってるんだよ。俺は江崎にも気持ちよくなって欲しい」  そこまで言われて、ようやく江崎くんは森永さんが一回もイってない事に思い当たりました。  そうじゃん、尻の穴まで弄られてこれで終わりなわけないよな。入れたいってことだよな……。  そして、覚悟を決めます。たぶんソレは森永さんのちんちんよりは小さいし、気持ちいいならいいじゃないか。って、いいんですかね? 本当に? 何時もならツッコミを入れる自分の声も、今は全く江崎くんには届かないようです。 「気持ちよくなれなかったら止めるから、入れていい?」  ついに江崎くんが頷きます。 「本当にやだって言ったら止めてくださいよ」  さっきまでの「やだ」は無視されているし、そもそもこういう時の男の「ダメって言ったら止める」なんて嘘に決まっていますが、江崎くんは流されていきます。  森永さんは自分で言わせたくせに、「こいつ、こんなにチョロくて大丈夫か?」なんて心配になりました。今は都合がいいけれど、ただの遊びで終わらせる気もないけれど。 「ありがとな。やだって言わせないようにする」  森永さんは江崎くんの頬に軽くキスをすると「ここじゃキツイよな」と言い、江崎くんをベッドの上に導きます。「少し見えた方がいい?」と聞かれ、江崎くんが迷っているとさっきまで埋もれていたクッションも引き上げ、江崎くんが苦しくないよう少し背を起こすように寝かせます。  森永さんは手にしたエネマグラにコンドームを被せると、挿入部分を手で握り込んで少し温めながら、もう一度江崎くんに深くキスをしました。そこから唇を足元の方へと下ろしていきます。森永さんの手は既に江崎くんの内腿を撫で、江崎くんのそこは今日初めて触られ意識した場所なのに、森永さんに触れられるのを期待して待っています。 「期待してる? 腰が浮いてるよ?」  言われて、森永さんが愛撫しやすいよう無意識に開いた膝と少し浮かせた尻に気付き、江崎くんは慌てて膝を閉じようとします。 「ダメ。そのままにしてて。江崎の可愛い所見せて」  女の子に囁くような言葉を囁かれる事に居心地悪くもぞもぞする江崎くん。 「可愛くないです」 「可愛いよ。ほら、俺にこうされるの待ってる……」  そう言いながら、森永さんはヒクヒクと息衝く江崎くんの尻の穴にもう一度指を差し込みます。ぐりぐりと確認するように縁をなぞられ耐えきれない呻き声がこぼれました。  森永さんが「少し、冷たいかも……」と言うと、言葉通り指の代わりに少し冷たいものが尻の穴に触れ、ぐっと中に押し込まれます。江崎くんは衝撃を覚悟して堪えようとしましたが、それより早くするんとエネマグラは江崎くんの身体の中に吸い込まれていきました。 「あ、……うそ……」 「もう、全部入ったよ」  入るはずの無いものが、抵抗なく呑み込まれていくのに驚く江崎くん。 「触ってみる?」  森永さんはそう言うと江崎くんの手を取り、拡がってエネマグラを飲み込み、ヒクヒクと息衝いている穴に導きます。江崎くんはされるままに自分の尻の穴を確認し、そこに突き刺さり呼吸に合わせてゆるゆると動くエネマグラに触れます。 「……入ってる……」 「うん、入ってる」  事実を確認され、江崎くんが今晒している自分の痴態を思い羞恥に震えると、尻に刺さったエネマグラが江崎くんの羞恥に応えるように震えます。 「ぅあ……っ……」  森永さんはそんな江崎くんを堪らない思いで見つめ、本当はすぐにでもがっついて突っ込んで揺さぶりたい衝動を、ぐっと我慢して自分の股間にもう少しがんばれ! とエールをおくります。そして、江崎くんの内腿にキスをするとそこから腰、腹、胸へと身体中にキスを落とし唇と手で触れています。  江崎くんは、股間のきわどい所までは触れながらちんちんにも尻のおもちゃにも触れない森永さんの愛撫に焦れて身体を捩りますが、そんな自分の動きにもエネマグラは反応して勝手にゆるゆると揺れ、江崎くんを中から刺激していきます。 「あっ……ゃっ……」  中と外から刺激され江崎くんはビクビクと身体を震わせて、快感を追いかけます。森永さんの唇と指は触れない部分は無いんじゃないかという程のキスと愛撫を落としながら、江崎くんの小さな乳首に辿り着きました。森永さんは小さな突起をぺろんと舐めてから口に含み、わざと歯を当てて刺激をし、チュウっと吸い付きます。唇と手で両方の乳首を攻められ、江崎くんはなすすべなく「あっ、ぁっ」っと森永さんが与える刺激に喘ぎを溢しています。充分になぶり、江崎くんがちんちんから透明な汁を溢す程感じさせると、呆気なく唇は乳首を離れて鎖骨から首筋を目指します。  次から次へと敏感な場所を探られ、江崎くんは自分も知ら無い身体の秘密を次々と暴かれていきます。 「あぁっ……」  数えきれない程のキスで弱い部分を吸われる度に、江崎くんは濡れた声を溢し、悶え、悶える江崎くんに合わせて尻に差し込まれたエネマグラが江崎くんの胎内を刺激していきます。森永さんから与えられる全て、江崎くんの感じる全てがそのまま快感となって江崎くんを悶えさせます。  森永さんは江崎くんの首筋から耳元にキスを落とし「気持ちいい?」と囁きました。その囁きにさえ感じて、江崎くんは身体を震わせ、それがそのまま胎内の刺激となって、やや遅れて「あぁぁっっ」と堪えられない声を上げました。  ビクビクと震える江崎くんが可愛くて、森永さんは江崎くんを抱きしめました。 「っっ……!!」  抱きしめられると全身に愛撫されたように感じて、江崎くんは息を張り詰めます。 「だ……っめぇ……あぁっ!」  江崎くんは身体の中から何かが沸き上がるような感じがして、抱きしめる森永さんの身体にしがみつきました。 「だめっイクっぅ……!」 「イクの?」 「んんんっぅ……っ!!」  森永さんは身体を強張らせ、強い快感に翻弄される江崎くんを更に抱き締めます。快感だけを与えたいと思っていましたが、初めてでこんなに感じてくれるなんて思っていませんでした。期待以上の反応です。  森永さんは溢れてくるような愛しさに突き動かされるまま、強い快感をやり過ごした江崎くんに深く口付けます。江崎くんはその刺激さえ耐えきれず、口付けられたままの唇から再び絶頂の呻き声をあげました。

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