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第22話

 身体を撫でる感触に江崎くんは小さく「ん……」と声を上げて身じろぎしました。 「起こしたか?」  そう森永さんに優しく語り掛けられて驚き江崎くんは慌てて目を覚まします。 「……俺、寝てた?」 「少しだけな。寝ててもいいぞ。今軽く身体は拭いたけど……」  そう言われれば、腹のあたりは拭われたばかりらしくスースーしています。 「寝るつもりなかったのに」  拗ねる江崎くんを笑い、寝てろよと言わんばかりに森永さんは江崎くんの背中をポンポンと叩きました。 「いや、起きます! せっかくラブホ来たのに……、何もしてないなんてもったいないです!」 「したじゃん」 「他にもラブホじゃないとないの色々あるじゃないですか! 泡のお風呂ももっと遊びたかったし」 「あー、ごめんな。つい……」  我慢できなくて、と小さな声で付け足して森永さんは頭を掻きました。 「あとほら、そっちのも気になるっていうか……」  そう言いながら江崎くんは、ベッド横に見える拘束具をチラリと見ました。本当に、初心者なのに、いや初心者だから? 好奇心だけは旺盛です。 「拘束されてみたい?」 「えっ、ちょっと……それは怖いような……」 「じゃあ、拘束してみたいとか」 「……誰が、誰を?」 「江崎が、俺を?」 「ぇえっ!?」  心底驚いたような江崎くんの反応に『子どもみたいだな』と思わず森永さんが吹き出しました。 「とりあえず、泡の風呂はもう一回できるから入れてきてやるよ」  そう言って立ち上がる森永さんを見送って江崎くんは考え込みました。  正直、縛られるのに興味がないかと言えば無くもない。だけど少し怖いのも本当です。でも、縛るのなら? 何度か一方的にオカズとしてお世話になってるエッチな女優サエちゃんのボンテージで縛られた姿が脳裏に浮かびます。縛られるのは怖いけど、縛るのは興奮するかも……。  だけど森永さんを……?  江崎くんは、サエちゃんの痴態を森永さんに置き換えて具体的に想像してみました。 「悪くないかも……」 「何が悪くないって?」  独り言のつもりが森永さんに返事をされて江崎くんは飛び上がりました。笑ってごまかすつもりが、ついつい視線は拘束具の方を見てしまいました。本当に嘘のつけない子です。 「あー……、縛られるのも悪くないって?」 「違いますよっ! 逆です、縛る方!」  曖昧にすると意外と強引な森永さんにやられてしまいそうで、思わず本音を言ってしまい江崎くんは焦りました。一人で赤くなったり青くなったり、ワタワタと動く江崎くんを見て森永さんは声を上げて笑いました。 「やってみたいの? やってみる?」 「いいんですか!?」  江崎くんは思わず意気込んで聞き『しまった』と思いましたが、森永さんは笑いながら「いいよ」と返事をしました。 「今、それとも後で? 今ならお湯張ってるから止めてこないと」 「後で……」 「了解。泡風呂、行く?」 「行きます」  ゴクリと息を飲む江崎くんと対照的に森永さんは落ち着いていて、格好良いなと思ったり、誰かとやったことあるんだろうなと思ったり……。江崎くんの心の中はますますジェットコースターのように上下しました。

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