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第25話
──森永さんは、どう触っていたっけ……。
クラクラする程興奮して、森永さんのローブをはだけさせながら太ももへと手を伸ばしました。森永さんはヒクリと反応して身体を固くしますが、口を固く閉じて声を飲み込んでいます。
「森永さん、触られるの、きもちいいですか?」
「ん、くすぐったい……」
「えー、うそでしょう? さっき、ピクッてしてましたよ」
「くすぐったい……、けど……」
きもちいい、と森永さんが小さな声で呟きます。
「うわっ、可愛い……」
「えっ」
「あ、声に出ちゃった」
「……可愛く、ないだろ。さすがに……」
江崎が可愛いってんならわかるけど、と照れ隠しなのか本気なのか分からないきまり悪い顔をして目を逸らします。
「可愛いですって! 森永さんが俺のこと『可愛い』って言う度に『マジか、無いだろ』って思ってたんですけど……、今なら森永さんの言葉信じられます! なんか『きもちいい』って言われるのとか堪んないですね……」 言いながらはだけた森永さんの太ももに唇を寄せます。触られた場所がピクリと反応して力が入りました。
「っ……」
「……ほら、こういう反応とかすごい可愛い」
「お前……そういうの、止めろよ」
「そういうのって?」
「こっちは動けないのに、恥ずかしいこと言うのとか……」
「えー……、だって、そういうのしてもいいから、縛られてくれたんですよね?」
「……っ! とにかく、言うな」
「無理ですって。俺、素直が信条だもん」
太ももにちゅっちゅと音をたててキスをしながら撫でられて、森永さんはゾクゾクと背中を走る感覚と闘います。
「っっ……」
息を詰める森永さんに、江崎くんは「はー……。興奮する」と呟いてローブの深い場所に手を伸ばします。熱く張り詰めたちんちんを探って握り、その感覚を確かめました。
触りなれた、だけど自分のものとは違う男性器の感触。
張りがあって、なめらかで、裏側の血管の柔らかな弾力、先端のさらさらとした敏感な部分、それから待ちきれない液を溢す先端くのくぼみ……、とつひとつを手触りで確認していきます。
敏感な部分に触れられる度に森永さんは息を詰め、身体を強張らせて耐えています。
「……脱がなくて正解だったかも……」
その江崎くんの呟きに、森永さんはピクリと反応しました。見るだけでは判らない程度の、でも触れていたら解ってしまう反応です。
──やっぱ、視覚で見たら『男』ってしんどいよな……。今だって、優しく触ってくれてはいるけど、それだって……。
「見えてない所で森永さんが興奮してくれてるの、こうやって確認するとすげーキます。めっちゃドキドキしてる……」
宥めるように太ももを撫でながら言われて、森永さんは一瞬冷たくなった気持ちを江崎くんに拾われました。
『ほんとに?』そう聞きたくて、でもそうできずに、ただ盛り上がりそうな涙を堪えます。
もう片方の江崎くんの手はローブに隠れたままの森永さんのちんちんをきゅっと握り、その存在感を確かめています。
「……っぅ……っ」
息を飲み込んだ森永さんに江崎くんが尋ねました。
「もしかして森永さん、声我慢してます?」
「っ……、男の、声、なんか聞いても、気持ち悪、いだろ……っ」
「えー……? 俺は聞きたいです、森永さんの声。森永さんだって俺の声、聞いてましたよね?」
「江崎と俺と、じゃ、ちがっ……ぁ……、手、動かすの、止めろっ……」
江崎くんは言う事は聞かずより熱心に手を動かします。
「っ……」
口をふさぎたいのに拘束された手では何もできず、喉の奥で声を殺して森永さんは震えながら耐えています。
「ほら、そーゆー声、可愛いです。森永さんもそういう声、出ちゃうんですね」
そう言いながら、江崎くんは邪魔な布を退けようとしました。
「ばかっ、止めろって……!」
森永さんは止めようと手足を動かしてみますが、もちろんガシャガシャと音が鳴るだけで無駄な抵抗。ハラリと布がはだけて、江崎くんに握られてヒクヒクと翻弄されている森永さんのちんちんが露わになりました。
大きく張り詰めた森永さんの先端からは先走りが零れ、くびれを伝い江崎くんの手に滴っています。薄暗い照明のせいで余計に凶暴な色をしたそれは、血管が大きく膨れて脈打ち、扱き上げると頭上の森永さんから「はっ」と吐息が漏れ聞こえてきます。
触れていたモノが露わになりその詳細を知ることで、江崎くんはその視覚の暴力に釘付けになりました。
「……すっげ……」
「もっ、ばかっ! 見んなっ……ってぇ!」
「森永さんのって、こんななんだ、凶悪……」
江崎くんは通常あり得ないアングルからの性器を至近距離でまじまじと見つめ、太く張り詰めたものの裏筋を指で辿ります。
「……ぅっ、江崎には、気持ち、悪ぃだろ……」
「気持ち悪くないですよ。友達のも自分のも見慣れてるし。むしろ彼女の見た時の方がショックだったなぁ……」
江崎くんはノンケ。痛い程解っていたずなのに、実際に言葉で聞かされて森永さんは少なからずショックを受けました。思わず、自虐的な言葉が口から飛び出ます。
「それで、興奮するくせに……」
「あー……。興奮はしますけど……。興奮しすぎて暴発してシラケちゃって、そこでお開きですよ。結局そのまま気まずくなって別れちゃって、彼女の友達までそれ知ってるんだからもう最悪でした」
「……ふっ……」
自分で掘り下げておきながら傷付いて森永さんは声を堪えます。嫉妬? 劣等感? 寂寥感? ……ひとつでは表せないぐちゃぐちゃの感情。
「森永さん、きもちいい?」
森永さんはふるふると首を振って、否定する仕草で肯定します。思い通りに動かせない身体が森永さんの感情を増幅させます。
──ここで止められたくない。面倒くさいって思われたくない。
抱き付きたくて、抱きしめて欲しくて、ぴったりくっついて安心したい。二人の間にある距離が寂しくて、だけどその分触れ合った部分だけが驚く程熱く、手で触れられているだけなのに底なし沼のように快感に捕らわれていきます。
淡々と続く愛撫に森永さんは必死に息を殺し、快感に身を委ねました。
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