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高遠原は、俺の下半身に添えた手を止めない。
「諸星……手が動かしづれェ。もっと脚、開けよ」
「ぃあ……っ、ん……っ!」
――誰が脚なんか開くもんか……っ!
それが俺の本心。
……その、はずなのに。
「ハハッ、今日は随分と素直じゃねェか? ン?」
理性に抗って、脚が勝手に……開いてしまう。
「やだ、いや……あ、あっ!」
「お前、分かってねェのか? さっきからずゥっと……先っぽ、ヌルヌルしたのが溢れてるぜ?」
「うそ、うそだ……っ! んっ、ふぁ……あっ!」
笑いながら、高遠原は俺の耳朶にキスをする。
そんなことをされる意味も、当然、分からない。
「音、おとっ、やだぁ……っ! 手、とめて、とめろ、ばか……っ! あっ、あぁっ!」
「止めてキツイのはお前だろ? 体は素直なくせに、口はうるせェなァ?」
「ふぁ、あぁっ! さ、先っぽ、爪で引っ掻くな――ぁん、んっ!」
戸惑う俺にはお構いなく。
高遠原は俺のペニスを扱いている手の動きを、更に荒々しいものにする。
「ふぁ、あぁっ! やっ、やめ――ん、ぁあっ!」
頭では、しっかりと拒否をしている。
――なのに、体は更なる快感を。
――射精を、求めている。
「たか、とおばらぁ……っ! もっ、や……やめ、ろ、っ!」
後ろに立つ、憎い男へ視線を向けた。
憤りを込めた筈である俺の顔が、高遠原の瞳に映る。
「あっ、うそ……っ? いっ、いや、いやだ……っ!」
高遠原の瞳に映った、俺の目。
――その目は、縋るように……求めるように、潤んでいる。
「ふはッ。……お望み通り、イカせてやるよ」
そう言い、満足そうに笑うと。
高遠原は俺を攻める手の動きを、加速させる。
「ちがっ、ちがうっ! やだ、いやだっ、やだっ! イ、イきたくないっ! やだ、あっ、ぁあっ!」
どれだけ首を横に振ったって。
――限界を迎えるしか、なかった。
「あっ、あぁ……っ! でるっ、で――ん、あっ! ぁああっ!」
情けない悲鳴と共に、俺は背筋を仰け反らせる。
そのまま高遠原の手に向けて、精液を吐き出した。
「うわ……すげェ勢い」
射精をしているというのに、高遠原の手は止まらない。
まるで俺の精液を搾り取ろうとしているかのように、動かし続けている。
「ふぁ……あ、ぁ……っ!」
ハデに達したせいで、足に力が入らない。
膝から崩れ落ちそうな体を、後ろから高遠原が抱き留めてくる。
(もう……なにが、何だか……分からない……っ)
脱力していると、高遠原が俺を覗き込む。
「真冬、こっち向けよ」
「ふ、ぁ……っ?」
強い口調で……だけど、優しい声で名前を呼ばれた。ぼんやりとした頭ではなにも考えられず、素直に振り向く。
視線が絡まった瞬間。
――深く、口づけられた。
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