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 拒否は、できない。  だから俺は……震えながら、その時を待つ。  黙って高遠原の動きを待つこと、ほんの数秒。  すると。 「っ! お、お前、どこに……っ!」  あまりにも突然の感覚に、俺は情けないほど不安げな声を漏らした。  だって、そんな……ありえないだろ。  ――肛門を、指で撫でられるだなんて。 「おまっ、お前……っ! こんなの、正気じゃないっ!」 「ココ使ってヤるんだよ。少しは頭使えっつの」 「お前こそちゃんと考えて――」  窘めるような物言いに腹が立ち、高遠原を睨みつけようとした瞬間。 「い、ぁあ……っ!」  ――突然。  ――指を、突っ込まれた。 「ひ、うぅ……く、っ!」  おそらく、俺の精液をローション代わりに使ってるんだろう。  さっき指で弄んでいたのは、この伏線だったんだ。  俺の精液で濡れた指を突っ込むと、高遠原はまるで……内側をほぐすかのように、動かしてくる。 「う、ぅ……っ! ぃ、やだ、やだ、ぁ……っ!」  怖いくらい優しい手つき、で。 「うわ……ッ。真冬の締めつけ、ハンパねェな」 「うる、さ――ひっ、ぐ……っ!」  奥まで指を挿入されると、体が勝手に跳ねてしまう。  ビクンと仰け反ると、指の本数が二本――三本に増やされてしまった。 「ふゥん……? 後ろも感じやすいんだな」 「そ、そんなワケ、ない……っ!」 「説得力ねェなァ? これだけ俺様の指に吸いついてるクセして。……なァ、真冬。日頃からココ……弄ってるのか?」  グリグリと、なにかを探るように動かされる、指。  したくないのに、神経が集中してしまう。 「いじ、って……な、い……ん、っ!」  ベッドのシーツを握り、首をゆるゆると横に振って、否定する。  指の動きは一向に止まらず、今もなにかを探しているようだった。 「ぁ、う……っ! はや、く……抜け、ばか、ぁ……っ!」  初めてで未知の感覚に、俺は終わりを望んだ。  ――そのときだった。 「――ふ、ぁ……やっ、んんっ!」  ――指が、ある一点をかすめたのは。  俺の反応に、高遠原は瞬時に気付く。 「ココ、か……?」  指が、同じところをもう一度擦る。 「ちが、っ! や、あっ!」  『違う』なんて反論したところで、意味はない。  高遠原は俺の声を無視して、弄ぶように指を動かす。 「やだ、あ、ぁ、っ! そこ、も……やめ、っ!」  どうせ、やめてなんかもらえない。  そうとは分かっているのに、俺は何度も『やめろ』と訴える。  だが、ついに。 「ふ、ぁ……っ!」  俺の望みが、叶ったのだ。  突然……高遠原の指が、引き抜かれたことによって。

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